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プロジェクトを成功させるカギは『多様性』

PJ活動お役立ちコラム
第95回 2022年9月20日
プロジェクトを成功させるカギは『多様性』

「あなたと一緒にプロジェクトを遂行するメンバは、同じような考え方の人がよいですか?それとも違う考え方の人のほうがよいですか?」
この問いに対して、あなたなら何と答えますか?

「自分と同じような考え方の人がよい」と答えた方、もしかしたらその考え方によってプロジェクトが失敗するリスクが高まるかもしれません。

今回は、多様性を「科学」し、なぜ画一的な集団は当人たちも気づかないうちに失敗する傾向にあるのか?  なぜ多様性豊かな集団は、その頭数以上の力を発揮できるのか?を、具体例をもとに説明している本をご紹介いたします。

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著者:マシュー・サイド
書名:多様性の科学  画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
発行:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行年:2021年6月
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なぜ画一的集団は失敗しやすいのか

一見、個々人が頭脳明晰で高い能力があり同じような背景をもつメンバを集めたプロジェクトは、意思疎通や合意形成もスムーズで円滑な運営が可能となり、プロジェクト成功に近そうにみえます。
しかし、本書では「同じ考え方のトップ集団より、考え方の違う集団のほうが集合知を発揮する」「画一的集団は失敗を助長している」としています。なぜでしょうか?
それは「画一的な組織では盲点を見抜けない」からです。

多様性が重要なカギ

では、集団や組織で盲目にならないように、失敗を助長しないように、さらに個人主義を集合知に広げるためにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、「多様性」を取り入れることだと本書では語っています。

日常に多様性を取り込むための3つのポイント

本書では、日常に多様性を取り込むためのポイントを3つあげています。

  • 「無意識のバイアス」を取り除く
    自分では気づかないうちに持っている偏見や固定観念である無意識のバイアスを取り払ってみる
  • 影の理事会
    会議や決断に異なる世代(若手など)からの意見を取り入れ、視野を広げる
  • 与える姿勢
    受け取ることを優先する人(taker)ではなく、自分の考えや知恵を相手に共有・与える人(giver)になる

さいごに

本書の一節「我々は自分と同じ考え方の人、同じ視点や同じ偏見を持つ人と一緒にいることを無意識に好む。そのほうが気が楽だ。しかもみんなで賛同し合って、自分達の考えに自信が持てる。頭が良くなった気になる。実際には愚かな集団でしかないのに。」
これに心当たりがある方もいるかもしれません。
筆者自身、過去には、自分と違う考え方の人と接することは、不安になったりストレスになったり、極力避けたいと思ったりすることもありました。
しかし、多様な意見を取り込むことで、それはプロジェクトの秩序を乱す脅威ではなく、プロジェクトの課題を思わぬ形で解決したり、成功につながる集合知になったことを経験しています。
ぜひ、みなさんのプロジェクトにも多様性を取り込んでいただき、このことがプロジェクト成功の一助となりましたら幸いです。