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たたき台の作成を楽しめるように・・・

PJ活動お役立ちコラム
第91回 2022年8月23日
たたき台の作成を楽しめるように・・・

資料を作成する際の『たたき台』という言葉、どのような印象をお持ちでしょうか?
『手間がかかる』、『ダメ出しを受ける』というイメージが先行し、たたき台という言葉に良い印象を持っていない人が多いのではないでしょうか。
今回は、たたき台の必要性と叩く側(たたき台に意見やアドバイスする人)の振る舞いについて取り上げます。

たたき台はもともと鍛冶場で使われていた道具

たたき台は、『原案、草案、試案、仮に作る案』という意味で使われることが多いです。
たたき台の語源は、もともと鍛冶場で使う道具の名前と言われています。
鍛冶場では金属を焼いてたたきながら形を作っていくのですが、このときの台を「たたき台」と呼ぶそうです。鍛冶場では、たたき台の上に熱した鉄を乗せ、それを何度も打ち、刀の形を整えていました。鉄を熱しただけでは完成品には程遠いですが、たたき台の上で形を整えていくことで、徐々に良質な刀ができあがっていくのです。
鍛冶場で使われていた台が語源であるとすれば、たたき台は『ダメ出しを受ける』というマイナスのイメージを持つものではなく、完成品に近づけるためには無くてはならない大切なものであると言えます。
筆者はこの語源を知り、たたき台を作成するときは、誇りをもって取り組むのが良いのではないかと感じました。

たたき台が変形させられることを恐れてはいけない

筆者自身は、たたき台を作成する機会が多いのですが、自身のスキルが足らず、たたき台にまで至らない生煮えのままで内部MTGに出すことも多いのが実情です。「ここまでしか出来ていないのか」と落胆される場合もありますが、多くの場合は、MTG参加者から様々な意見をもらい、筆者自身の生煮えの案(課題と対応策)がブラッシュアップされます。
その結果、筆者自身が想定していた案が採用されないことになりますが、それでよいと思っています。

たたき台があるメリット

たたき台を作成するということは、スキルや「たたきへの心構え」が必要であり、簡単なようで難しい作業であると感じています。大変な作業ではありますが、たたき台を作成するメリットは以下のようなことがあげられます。

  1. 論点の整理
    たたき台を軸に議論が進むので論点が整理される。
    知見のある人から指摘が入ることで、ブラッシュアップされる。
  2. 自分の理解度の確認
    たたき台の作成過程で自分自身の理解度を確認することができる。
    たたき台が作れないのであれば、理解が不足しているので情報収集をする必要性に気づくことができる。

たたき台を作る人はすごい!

たたき台を作成するのは、「ゼロ→イチ」に作り上げる作業であると感じています。
ゼロ→イチにするのは、どんな作業よりも時間と労力がかかります。
たたき台を作成する人の心理的負担を少しでも減らすには、叩かれることを恐れることがないようにしたいです。叩く側の人(たたき台に意見やアドバイスする人)は、たたき台を作成するという作業を理解し、作成者へのリスペクトを忘れないように心掛けることが必要であると感じます。
リスペクトはしているけど、どのようにその思いを表したらいいかわからない人も多いと思われますので、私の職場の方々の振る舞いをご紹介します。参考にしてみてはいかがでしょうか。

 【叩く側(たたき台に意見やアドバイスする人)の振る舞い】

  • たたき台を作ってくれたことに感謝を伝える
  • 良い点から具体的に、感想を述べる
  • さらに良くするために、参考イメージや具体例を出し、「こういう風にできますか?」と提案する

最後に、たたき台を作成する人が「楽しい!」「やりがいがある!」と感じ、みんなでリスペクトしあいながらアウトプットを良くしていく。そういう仕事の仕方を大切にできる人が増えたらいいなと思います。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。