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組織を成功に導く循環モデル
PJ活動お役立ちコラム
第90回 2022年8月16日
組織を成功に導く循環モデル

「組織の成功循環モデル」という言葉をご存じでしょうか?これはマサチューセッツ工科大学の元教授ダニエル・キム氏が提唱した言葉で、ビジネスマンや、マネジメント層の方々は耳にしたことがある言葉ではないかと思います。
筆者もその昔、PMOとして初めてプロジェクトに参画した際、プロジェクトマネージャーが「組織の成功循環モデル」を実践しており、感銘を受けました。メンバー同士が良好な人間関係を築いており、また笑顔が多く、プロジェクトの雰囲気が明るいと感じました。
今回は、この「組織の成功循環モデル」について、ご紹介したいと思います。
ポイントは「関係の質」を高める
「組織の成功循環モデル」とは、組織(以下、プロジェクト)が「結果」を出して成功するために重要視しなければならないポイントを示唆してくれる考え方です。
この「組織の成功循環モデル」は、「結果の質」「行動の質」「思考の質」「関係の質」の4つの質を循環させることでプロジェクトを成功に導きます。
プロジェクトが求める「結果」を出すためには「行動」や「思考」を変えたりすることが必要で、この2つの質を高めるためには、プロジェクトメンバーとの「関係」性が重要なのです。
つまり「組織の成功循環モデル」のポイントは、プロジェクトの「結果の質」を高めるために、まず「関係の質」を高めるべきである、ということです。
バッドサイクルとグッドサイクル
ではプロジェクトを成功に導くためには、前述した4つの質をどのように循環させればよいでしょうか。
循環モデルには「バッドサイクル(悪循環)」と「グッドサイクル(好循環)」の2つの循環サイクルがあります。どちらも循環のサイクルは同じですが、それぞれ起点が異なります。
バッドサイクル(悪循環)
バッドサイクルは、目先の成果や結果だけを求め「結果の質」を向上させようとすることから始まります。成果が上がらずに「結果の質」が低下すると、嫌々やらされ感が多くなり、結果が出ないためプロジェクトの雰囲気が悪くなり、暗くなってしまい、悪循環となります。
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結果の質:結果だけを求めると・・・
成果があがりにくい(一時的に成果が上がる場合もある)。 -
関係の質:関係の質が悪くなり・・・
対立が生じ、押し付け、命令、指示が増える。 -
思考の質:思考の質が下がり・・・
考えることをやめ、受け身になってしまう。仕事が面白くなくなる。 -
行動の質:行動の質も低下・・・
自発的、積極的に行動しなくなる。コミュニケーションを取らなくなる。 -
結果の質:さらに成果があがらない・・・
グッドサイクル(好循環)
「結果の質」から一番遠いと思える「関係の質」を起点として改善していくことが、「結果の質」を上げるための近道であり、好循環となります。
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関係の質:関係の質を上げえると・・・
お互いを尊重し、結果を認め、一緒に考えるようになる。信頼関係が生まれる。チーム内に一体感が生まれる。 -
思考の質:思考の質が上がり・・・
自分で学び、考え、気が付くようになる。仕事が面白いと感じる。 -
行動の質:行動の質も向上し・・・
自発的、積極的にチャレンジし行動ができるようになる。協力的な行動ができるようになる。コミュニケーションを積極的に取るようになる。 -
結果の質:結果の質も自然と向上
質の高い行動によって、成果が出てくる。達成感や成果を実感できるようになる。 -
関係の質:さらにチームの関係が良くなる。信頼関係が高まる。
さいごに
プロジェクトで結果を出すためには、「結果の質」から取り組むのではなく、一見、遠回りのように感じるかもしれませんが「関係の質」から取り組み、お互いを尊重し、人間関係の質を高めることが重要だと思います。ビジネスマンである以上「結果の質」に拘りたくなりますが、そんな衝動をグッとこらえて「関係の質」に目を向け、グッドサイクルを回してプロジェクトを進めてみてはどうでしょうか。
今回の内容が、みなさんの活動のご参考になりましたら幸いです。