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役割明確化の大切さ

PJ活動お役立ちコラム
第89回 2022年8月9日
役割明確化の大切さ

日頃のちょっとした活動において、「この作業は誰がやるのだっけ?」、「これは誰かがやっていたのでは?」と、やるべきことに手を付けていないことに気づいて、慌てて作業に取り掛かったようなことはありませんか。
今回は、なぜこのようなことが起きるのか、どのように回避すべきか、実際にあった例を取り上げながら、役割の明確化についてお話ししたいと思います。

誰からの指示?

とある少人数の小さなプロジェクト活動で、こんなことがありました。
この活動ではひとりの作業者に対して複数のメンバーが同時に異なる作業を依頼したり、逆に依頼すべき作業が依頼されていないということが頻発していました。このため予定していた作業に遅れが発生するなど影響も出始めていました。
なぜそのようなことが起きたのかを関係者にヒアリングしたところ、少人数の現場活動との理由で、作業計画が見える化されておらず、都度メールで作業依頼を行っている状況だったのです。作業を依頼される側にとっても、時間配分が難しく迷惑な話です。

体制図とWBS

そんな役割がはっきりしないことの反省を踏まえ、この小さなプロジェクトでも、きっちりと体制図とWBSを用意して関係者間で共有することになりました。
簡単に説明すると、プロジェクトに関わるメンバーの役割と名前を明記した箱を用意し、指揮命令系統に沿って関係する箱を線で繋ぎプロジェクトの全体像を体制図として図式化しました。
また、実際に行うべき作業等をタスクとして分解し、それぞれの作業者と作業期間を明確にしたWBSを用意しました。
なんの変哲もない、ごく普通にある体制図とWBSを準備しただけです。これだけのことですが、メンバーはみな納得してあらためて作業に取り掛かることができるようになったのです。

誰がやるのだっけ?

それからしばらくして、このプロジェクトメンバーからこんな声が聞こえてきました。
「この作業は誰がやるのだっけ?」、「これは誰かがやっていたのでは?」
体制図とWBSを作ってうまく軌道に乗ったと思いきや、またもや同じ声が聞こえてきたのです。
関係者も作業内容も洗い出してメンバーに割り振ったのに、なぜ同じことが繰り返されたのか、手が付けられていなかった作業についてあらためて内容を確認してみることにしました。
すると、当初予定されていなかった想定外の作業が誰からも指示が無く手付かずになっていたのです。
根本の原因は、新たに必要になった作業について内容を検討し、作業を割り当てる、といった役割の人がいなかったことでした。

役割の明記

通常WBSは決められた作業については記載されていますが、すべての作業を載せきれるものでもありません。例えば今回のように、追加の作業が発生した場合、誰がどのように検討し対応を指示するのか、発生した問題に対して誰が責任をもって対処するのか、といったことなどがあります。
その一方で、体制図には役割が書いてありますが、その役割についても明確になっていないためにメンバー間で認識が合わず、やるべきことが宙に浮いてしまうこともあります。たとえば皆さんは、自身が関わるプロジェクトの、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダー、個々のサブリーダーなどの役割を言葉で説明できますか?その内容は他のメンバーと認識が一致していますか?
WBSにも落とし切れないことは、誰がどう対応するのか、役割を定義して明文化し、メンバー間で共有すると良いでしょう。
今回取り上げた例では、体制図上の役割に対して、その定義(やるべきこと)を明記した一覧表を作成し、メンバー間の共通認識として共有することにしました。これによって、それぞれの立場や責任の所在が明らかになり、メンバーの意識も変わるようになりました。

今回は小さなプロジェクトの実際の例を取り上げながら、役割の明確化についてお話ししました。
少しでも皆さんの活動の参考になりましたら幸いです。