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Yes and...but?!

PJ活動お役立ちコラム
第87回 2022年7月26日
Yes and...but?!

みなさんは、研修や教育で、“対話”について学んだ経験がおありでしょうか。
筆者は1on1ミーティングの進め方の研修を受けた際、「傾聴」や「フィードバック」、対話の方法としての「Yes and」などを学びました。メンバーとの対話において、意識して実践できていると自負していました。

Yes andの実践

とある部内で取り組むべき課題があり、メンバーと一緒にPJを立ち上げ活動を始めました。
メンバーがポジティブな気持ちで取り組めるように、みんなの意見ややりたいことも聞いてタスクやスケジュールを作っていきました。筆者はなるべく口を出さないようにして、活動はうまく進んでいました(ように見えました)。
ところがある日、「あれ?これは私がやりたいと考えていたことをやらせているだけなのでは?」と気がついたのです。

その前に簡単に説明しますと、「Yes and」とは、もっとこうしたらいいよということを伝える話法の1つで、
 「それは良いアイデアだね」
 「それで〇〇にしたんだね」
 「さらに△△の視点で考えたらどうなるかな」
というように、相手の考えや取り組みを否定せず受け止めつつ、もっとよくなるにはどうしたらいいか考えてもらう気づきを提供するというものです。

相手を受け止めつつ、反対意見を伝えるのが「Yes but」です。
 「それは良いアイデアだね」
 「でも、△△のほうがいいよね」
これも相手を受け止めてはいますが、すぐさま相手の考えや取り組みを否定することになるので、相手の心が閉ざされていきがちです。

一番いけないのは、「No but」
 「それは違うね」
 「〇〇のほうがいいよ」
取り付く島もない状態です。

Yes andにbutはいらない

話を戻しますと、筆者は研修で学んだ「Yes and」を意識してPJを進めていたつもりでした。
元々課題提起を筆者がしたこともあり、少し答えに誘導しようとしてしまったことは否めません。
「Yes and」で意見を受け止め、気づきをフィードバックしていましたが、筆者は多分「Yes and」と言いつつ、「…but」を続け、自分の意見をやんわりと押し込んでいたのではないかと思います。
これではせっかくの「Yes and」が台無しです。
学んで実践できているつもりでいましたが、大失敗です。
幸い課題認識が同じだったため、当時のメンバーとの大きな意見の差は生まれず、PJの目標は達成できました。けれども、「メンバーの新しい発想や取り組みを私が潰してしまったかも…」と反省しきりでした。

「〇〇風」にならないように

昨今、1on1ミーティングは事業運営の重要な活動の1つになっています。上司・部下の対話でも、「No but」や「Yes but」で相手の話を遮らない心構えが必要です。しかしながら筆者のように、なんちゃって「Yes and」にならないように気をつけていただけたらと思います。
これでは、「話を聴いてくれている風」「アドバイスをしてくれている風」になり、「結局、意見を押し付けてくる」という状態になりかねません。さらには部下の成長の芽を摘んでしまっているかもしれません。
そうならないように、筆者の失敗談を反面教師にしていただき、ご自身の発言や考え方の思考に改善の余地はないか振り返っていただけるとうれしいです。

筆者もこのコラムを書くにあたり、当時を思い出しつつ気をつけなければと改めて気を引き締めました。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。