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協力者との連携時に注意したいこと
PJ活動お役立ちコラム
第85回 2022年7月12日
協力者との連携時に注意したいこと

今回は「協力者との連携時に注意したいこと」というテーマでお話します。
ご承知のとおり、仕事はたった一人で遂行することはできません。ましてや完遂することなどは困難の極みです。このことは成し遂げるべき仕事の規模が大きくなればなるほど、その傾向が顕著となります。したがって、仕事をする際は一緒にその仕事の目的や意義を共有し、目標を達成する協力者(同僚、部下、社外のパートナー)が存在する場合が多いと思います。このコラムでは、そんな仲間たちと一緒に仕事をする際に気を付けたいことについてお話します。
孤立したり独善的になっていないか
筆者自身も経験がありますが、昔、上司から「仕事をする際には自立心(あるいは自律心)をもって取り組むことが大事」とアドバイスされることがありました。この言葉は気をつけなければいけない点があるため、このようなアドバイスをしたり、されたりする際には注意しなければいけないと思います。
自立や自律とは、決して一人きりで孤独に仕事をすることではありません。また、独善的なリーダーシップによって周囲の空気を読まず、ただ独りよがりな対応をすることでもありません。相手の立場に立つことなく「正しい」ことを言うだけでは周囲のメンバーは誰もついてきません。そうではなく、常に全体最適化を意識することが大事だと思っています。つまり、仕事の進め方や結果に対する責任感という内面的な感情においては、自立・自律した思いを持つことが大事なのだ、という理解をしています。その意味で、自立・自律という言葉に潜む危うさを常に意識したいと思っています。
協力者側のメリットに思いを馳せる
二つ目は、協力者側のメリットに思いを馳せることです。協力者は単に「仕事を一緒にする相手」というだけでなく、大切なパートナーです。思いや志を共有し、ともに目的やゴールに向かい、時には共に汗をかく大事な仲間だと思います。単発な仕事を限られた時間で共に行い、その仕事が終われば「それでは、さようなら」というのでは少し寂しい気もします。
ここで大事になるのが、その仕事が持つ意味や相手方にとっての意義を考えることだと思います。今回依頼する仕事は、相手の利益にどのように資するのか、あるいは、相手側メンバーの将来に向けた成長にどう貢献できるのか、このような視点を持って接することがより良い成果を生み出す上で非常に大事になると思います。
「安く仕入れて(買って)、高く売る」。このような自社や自己利益のみに執着した精神や事業の行く着くこところはたかが知れています。このことを筆者も常に自戒しています。「ただ儲かれば良い」という事業に未来はない、と本気で思っています。
協力者との役割分担、要件定義は明確になっているか
最後にプロジェクトマネジメント的な発想になりますが、協力者との役割分担や要件定義は明確になっているか、という点です。「もっとやってくれると思っていた」や「期待している品質レベルとは違う」など、仕事が終盤に差し掛かる頃になるとお互いの認識相違が顕在化し、最悪の場合トラブルに発展することがよくあります。役割分担や要件定義の曖昧さは、常にプロジェクト失敗要因の上位に位置付けられます。「仕事の失敗や品質低下は、常に上流工程で作り込まれる」このことを肝に銘じて契約を進めることが大事だと思います。そのため、WBS(Work Breakdown Structure)やSOW(Statement of Work)といった役割分担や仕事の進捗状況を見えるようにする仕組みをさらに有効活用いただきたいと思っています。
さいごに
今の時代の事業や業務は、1社単独で進めることができる場合はほとんどなく、多くの協力者やベンダーとの協働型で進めることが圧倒的に多いと思います。従前にも増して「オープンイノベーション」という言葉を耳にする機会も多くなっています。「既存事業をより良くする」、「新規事業を立ち上げる」どちらの場合においても協力者の存在は欠かせません。今回はそんな時代に仕事をすることを余儀なくされている私たちにとって、マインドと仕組みの両面からのアプローチについて記載させていただきました。少しでも参考になれば幸いです。