Displaying present location in the site.

問題解決のアプローチ~コンサルタントと医者の共通点

PJ活動お役立ちコラム
第82回 2022年6月21日
問題解決のアプローチ~コンサルタントと医者の共通点

皆さんは日々のプロジェクト活動で発生した問題をどのように解決していますか?今回はコンサルタントや医者を取り上げながら、問題解決のアプローチ方法についてお話ししたいと思います。

問題が再発するのはなぜでしょう

皆さんが日々プロジェクトを遂行する中においては、頻度や種類の違いはあれど「何かしらの問題」が発生することがあると思います。それは品質(Q)であったり、予算に対するコスト(C)であったり、スケジュール(D)であったり、また場合によってはそれらが相互に関連したりする場合もあるでしょう。
そのような問題を放っておくことはできませんので、皆さんは解決に向けて打ち手を検討して実行します。例えば日程遅延に対しては人員リソースを追加してマンパワーで期日に間に合うようにしたり、予算が足りなければ追加費用を申請したりすることもあるでしょう。その結果、問題が解決することもあります。しかし、なぜか何度も同じ問題が繰り返されたり、ひとつの問題を解決したと思ったら別の問題が発生したりすることもまたよく見られることです。
いったん解決したはずなのに、まぜまた問題が再発するのでしょうか。ケースによって理由は様々でしょうが、その一つに「表面上見えている(顕在化している)問題に注目して施策を打っており、その問題を引き起こす根本的な課題と要因を捉えていない」ことが考えられます。
しかし、『根本的な課題・要因』といってもその抽出方法も分からないし、そもそも検討する時間もない方がほとんどでしょう。自助努力では限界がある、そんなとき外部コンサルタントに協力を仰ぐことを選択される場合もあるかと思います。

コンサルティングって何でしょう

コンサルタントが推進する「コンサルティング」という言葉自体に対しては、いろいろな定義や解釈がありますが、あえて概要的に「顧客の課題を解決する方法を考えて提示する」と表現してみます。一方、世にコンサルタント業を冠した企業は数多く、その対応領域や、活動内容、コミットする範囲は様々であり(そのせいか、皆さんがコンサルタントに抱くイメージも様々かもしれません)、したがってコンサルティングの進め方自体もそれぞれ異なります。
問題解決への具体的な方法は種々あることを前提としたうえで、そのアプローチの大まかな流れとしては以下が挙げられると考えます。

  1. 現状を整理・把握し
  2. そこにある課題を抽出して
  3. その要因の特定と関係性を明らかにして
  4. 有効な改善策を提示する

前項で触れた「根本的な課題・要因」は、1~3の過程で抽出されます。とはいえ、この説明は抽象的なのでちょっとイメージしづらいかもしれません。
そこで、次に「コンサルティング」を別の角度から見てみましょう。

医者もコンサルティング

突然ですが、英語で「医者にかかる」はどのように表現するか、ご存知ですか。単に『医者に(病院に)行く』であれば To see a doctor ですが、診察を受けるニュアンスを含める場合は To consult a doctor と表現します。「コンサルト」が出てきましたね。
皆さんが体調を崩した際に、病院に行って医者に診察してもらうことを思い出してみてください。まずは症状を伝え、熱を測ったり、聴診器で呼吸音や心音を聞いたり、場合によっては血液検査・尿検査を行ったりレントゲンを撮ったりします(1. 現状整理・把握)。医者はその結果を元に、健康な状態との比べてどのような異常があるかを確認し(2. 課題の抽出)、その原因は何かを特定して(3. 要因の特定)、必要な処置を判断します(4. 改善策の提示)。
もしもその医者が、表面上に現れている症状だけで処置方法を判断したとしたらどうなるでしょう。例えば頭痛を訴える患者に対して、その症状がどのような原因に起因しているかを調べることなく単に頭痛薬だけを処方したとします。一時的に頭痛は改善するかもしれませんが、もしもその頭痛が重篤な疾患に起因しているとしたら、その処置では正しい治療にはなりません。
現状を正しく把握し、根本的な課題と要因を抽出・特定したうえで問題を解決するというアプローチが必要なのです。

おわりに

今回は、「コンサルティング」が問題解決に対してどのようなアプローチをするかについて、医者にかかるという身近な例と照らし合わせて述べました。現行プロジェクトにおいて講じている解決施策が、果たして根本的な課題・要因を踏まえているか。いま一度、考えてみると良いかもしれません。
今回のご紹介がみなさんの活動のご参考になりましたら幸いです。