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ナレッジ(知識・ノウハウ)探しの日々・・・
PJ活動お役立ちコラム
第81回 2022年6月14日
ナレッジ(知識・ノウハウ)探しの日々・・・

今年度も、早2ヵ月が経過しました。
異動や役割分担の変更などで新たな業務を担うことになり、ナレッジを共有・再利用する場面が増えた人が多い時期なのではないでしょうか。
今回は、組織の持続的な活動に不可欠な「ナレッジマネジメント」について取り上げます。
ナレッジはどこにある!?
「ベテランの頭の中にある」、「一元管理されていない」、「探し出すのに時間がかかる」
お客様にナレッジ(知識・ノウハウ)に関して質問をすると、このような声があがる割合が高く、問題として認識されているにも関わらず、いつまでも解決されないようです。
筆者自身もナレッジ探しに時間を費やし、思うように業務が進まない状況を何度も経験しています。
なぜ、多くの企業ではナレッジの管理(ナレッジマネジメント)がうまくいかないのでしょうか。
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、個人が持っている暗黙知(ベテランの経験知識やノウハウなど)を形式知(文章や図表、数式などによって説明・表現できる知識)へと転換し、組織的に共有する管理手法です。
ナレッジマネジメントを行うためにはITツールを活用する場合が多く、社内の取り組みとして浸透させ、社員の協力を得る必要があり、難易度が高いことが、ナレッジマネジメントがうまくいかない要因の一つといえます。
ナレッジマネジメントの具体的な手法
ナレッジマネジメントを実践するには、SECI(セキ)モデルに基づくと良いでしょう。
このSECIモデルとは、一橋大学の野中郁次郎名誉教授が提唱した知的創造プロセスで、以下の書籍で詳細が紹介されています。
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著者:野中 郁次郎, 竹内 弘高
翻訳:梅本 勝博
書名:知識創造企業
発行:東洋経済新報社
発行年:1996年3月
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ポイントとしては、以下4つのプロセスで構成された組織的知識創造を繰り返すことが重要です。
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共同化:暗黙知を共同化するプロセス
個人から個人への暗黙知の伝達・獲得を行い、相互理解を図ります。暗黙知は同じ体験をしないと獲得が難しいため、同じ体験を通じて、精神的暗黙知や身体的暗黙知を作り出すことが可能です。 -
表出化:暗黙知を形式知に変換するプロセス
暗黙知を「共同化」した人同士で、その暗黙知の形式知化を論理的に話し合い、考えて、経験によって得たポイントやノウハウを文章や図表で表現し、マニュアルに落とし込みます。 -
連結化:「表出化」によって変換された形式知を他の形式知と組み合わせるプロセス
「表出化」した形式知単体では組織では機能しないため、それら形式知を組み合わせ、体系的・総合的な知識を作り出します。
「連結化」では形式知のIT活用を図るなどの実践的な取り組みを行います。このプロセスで初めて、個人の暗黙知が組織の知的財産へと変化します。 -
内面化:「表出化」と「連結化」の過程を経た形式知が、個人的な暗黙知へと変わるプロセス新たに取り入れられた知識は、経験や認知を通じて新たな個人の暗黙知を生み出します。この暗黙知を組織の知的財産へ変化させるため、再び「共同化」により他の人と暗黙知の共有を図るというプロセスを繰り返します。
ナレッジマネジメントの注意点
この手法を組織に取り込む際は、マニュアル作成やIT活用を検討されると思います。
その際に注意したいのは、ナレッジマネジメントツールの導入により、現状に満足してしまい、「蓄積されたナレッジをどのように再利用し、新たな知を創り出すか」、「蓄積されていない知識・ノウハウがあるのではないか」など、考えて行動する機会が減ってしまうことです。
名ばかりのナレッジマネジメントに陥らないように、「自力で思考する重要性」も併せて周知することで、自主性を失うリスクを防止することが必要ではないでしょうか。
さいごに
ナレッジマネジメントは、業務改善・効率化、人材育成サポート、属人化の防止、知的財産の蓄積、人材流出対応などに効果的です。
効率的なナレッジ共有により、ナレッジ探しの日々から抜け出しましょう!
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。