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下流から「上流思考」へ
PJ活動お役立ちコラム
第76回 2022年5月10日
下流から「上流思考」へ

プロジェクトにおいて、日々多くの問題が発生して事後対応に時間を費やし疲弊していませんか?
また、解決しなければならない問題があるのに、忙しさでそのままにしていませんか?
実は、このような終わりのない疲弊や放置から効果的に抜け出せる方法があります。
それが『上流思考』です。
「問題が起こる前」に解決する、新しい問題解決の思考法です。
今回は、この『上流思考』について説明し、様々なパターンや具体例を記載している本をご紹介いたします。
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著者:ダン・ヒース
翻訳:櫻井 祐子
書名:上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法
発行:ダイヤモンド社
発行年:2021年12月
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本書の著者は、このように語っています。
「私たちは問題が起こってから反応し、火事を消し、緊急事態に対処してばかりいる。
もっと問題の予防に注意を向けるべきだ。」
本書は、問題に事後対処するのではなく、根本原因にアプローチをして問題が起こることを未然に防ごうとする「上流思考」について教えてくれます。
「上流思考」を阻む3つの障害
なぜ私たちは、問題が起こらないと腰をあげないのでしょうか?
本書では「上流思考」を阻む3つの障害とその例をあげています。
- 問題盲
(問題が見えない/「そういうものだ」「仕方がない」と思ってしまう)
- 悪い結果はあたりまえ、または避けられない、自分ではどうすることもできない、という思い込みをする
- 問題に対して、そういうものだからと疑問をもたない
- 「見て見ぬ振り」をしてしまう
- 当事者意識の欠如
(それを解決するのは自分ではないと思ってしまう)
- 問題を解決できる立場にいる人が、それを解決するのは自分ではないと思ってしまう
- 自分には問題に対処する資格がないと思い込んで傍観してしまう
- トンネリング
(「目の前の問題」しか見えなくなる/今は対処できないと思ってしまう)
- 小さな問題が大きな問題を締め出す
- カネや時間の「欠乏」が視野狭窄を生む
- 急場しのぎで充実してしまう
「上流思考」をするための7つの質問
上記3つの障害は誰しも思い当たるところがあるのではないでしょうか。
では、「上流思考」をするにはどうしたらよいのでしょうか。
本書では上流思考をするための7つの質問を提示しています。
ここでは説明を割愛しますが、ぜひ本書を読んで7つの質問を検討して「上流思考」の訓練を繰り返し実行してみてください。
おわりに
上流での解決策は望しい半面、複雑でわかりにくいという難点があるかもしれません。
しかし、「上流思考」の効果はゆっくりかもしれませんが、力強く効果を発揮します。
現状に甘んじず、疲弊する事後対応から抜け出して上流での問題解決に向かってみませんか。
今回の内容がよりよいプロジェクトマネジメントを遂行する一助になりましたら幸いです。