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あなたに任せます
PJ活動お役立ちコラム
第72回 2022年4月12日
あなたに任せます

新しい年度になり、環境が大きく変わり、新しいメンバーを率いることになったという方もいらっしゃることかと思います。
今回は権限委譲についてお話しします。とはいえ、組織構造のあるべき姿とはといった話ではなく、現場で私が経験した小さなできごとをお話したいと思います。
以前、とある業務の効率化と標準化を一層進めなければいけない状況になりました。いわゆる属人化が激しい業務で、「その人でないと分からないことが多い」「プロセスは難しくはないのに、配慮しなければいけないことが多く管理が複雑すぎる」「時間がかかりすぎる」状態だったからです。
第三者視点の重要さ
この状況を打開するために、その業務とは関係のない第三者に入ってもらいました。
コンサルタントなどいわゆる「プロ」ではなく、使用ツールに知見のあるメンバーの第三者的視点を足掛かりに、効率化と標準化を進めようと考えました。
使用ツールに知見があれば少しは気づきや改善の方向性が見いだせるだろう、マイナスになることはないだろうからやってみようとメンバーに入ってもらったのです。大きな改善になる決定打にはならなくとも1つでも変わればという思いで、糸口を探していたのです。
活動は進み、私が想像していた以上の効果が出てきました。
参加メンバーはその業務を徹底的に理解しようと努めてくれ、「なぜそれが必要なのか?」「なんのために使っている数値なのか?」「同じことを繰り返しているので意味がないのでは?」とどんどん指摘が入り、結果、従来のやり方を格段に簡易にする方法を編み出してくれました。
1つの業務では従来かけていた時間を3割以上も削減でき、もっとお客様のためにすべきことを考える時間や提案する時間に充てられる効果も出ました。新しい目で業務を見てもらう大切さを改めて感じました。
ゼロから考えていいよ
私はこの業務に入ってもらう際にそのメンバーに、「過去のやり方が正しいわけではないので、ゼロベースで考えてくれていい。こんなことやったらダメなのではなどと考えなくていいからチャレンジしてもらいたい。責任は私が取るから大丈夫。」と伝えていました。
実はこの言葉が、メンバーの心を軽くして積極的にアイデアを形にすることになっていたのでした。この言葉が持つ意味を私が深く意識していなかったことはずいぶん浅はかであったと後々恥ずかしい気持ちになるのですが。
何かを任せるとき、チャレンジしてみようと促すとき、「好きにやっていいよ」と言う言葉を投げかけます。相手の行動や成長を期待して発します。けれど、これは時に大きなプレッシャーにもなりますし、受け取りようによっては、「丸投げ」と感じる可能性もあります。
あなたに任せますの責任を取るのは自分
この取り組みでは、第三者に入ってもらい、どういうチャレンジでも大丈夫という心理的安全性を保ったことで、課題に対する活動が加速できました。必要に応じたサポートやヒントの提示などメンバーに寄りそっていたら、孤独な闘いのように感じることはないと思いますが、時にチャレンジより安定、過去のやり方でもいいのではという不安に苛まれることもあるでしょう。その時に、「責任は私が取るから、チャレンジしてみて」と伝えることで、安心してチャレンジできるのだなと実感しました。
この経験はずいぶん前のことですが、この一件があってから私はメンバーに対して、何かに取り組んでもらいたいと考えた時には、“思いのままチャレンジして欲しいと伝えると同時に、責任まで押し付けないから大丈夫。責任は私が取るから。”を意識して対話をしています。
ちょうど新年度が始まり、「権限移譲は加速すべきだが、責任移譲ではないのだから誤解しないように」という訓示があり、そのとおり!と現場の小さな体験者は頷いたのでした。(だいぶレベルは違いますけれども)
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。