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問題?課題?言葉の意味の正しい理解
PJ活動お役立ちコラム
第69回 2022年3月22日
問題?課題?言葉の意味の正しい理解

「彼は、がぜん思いついた破天荒な施策をすべからく実行すべき、と思った。」
皆さんはこの文章は何を言っているのか正しく理解できていますか?日常的に使う言葉の意味を正しく理解していなかったために、話が噛み合わなかったり、恥ずかしい思いをしたことはありませんか?
日頃の業務において使う言葉でも正しく理解されていないケースはありえることで、つい最近も、メンバー間の認識が合わなかった言葉がありました。それは「問題」と「課題」です。プロジェクトに携わっている方にはお馴染みの言葉ですので、「あぁ、それね。」と思われるかもしれません。
今回はこの「問題」「課題」を例に、言葉が持つ意味の理解について取り上げたいと思います。
違いは何?
先日、社内業務改善に向けた、とある小さなプロジェクトの資料を見る機会がありました。
その資料の中で「問題」「課題」が記載されていたのですが、それぞれが使い分けられておらず、内容が混在していました。
ここであらためて「問題」と「課題」の意味を簡単に述べると以下のようになります。
- 問題:目標と現状のギャップ(解決すべき事柄)
- 課題:ギャップを埋めるためのアクション(やるべきこと)
今回見た資料では、具体的な内容は伏せますが、「課題」が課題になっておらず、本来「問題」とすべき内容になっていたのです。
日頃何かしらのプロジェクトに関わっている方なら、「問題」と「課題」の意味は基本的なこととして理解されているかと思いますが、資料を作成した担当者の話を聞いたところ知らなかったとのことでした。
実際に辞書で「問題」「課題」の意味を調べてみても、どちらも同じことのように感じるかもしれません。このため、同じ意味だからきっちり使い分ける必要ないのでは、と思う方もいるかと思います。
ごく簡単な例を「目標」「現状」「対策」とセットで示すとこんな感じでしょうか(あくまでイメージしやすいように簡略化していますが、もちろん「問題」「課題」や「対策」はひとつとは限りませんし、どの粒度まで落とし込むかによって変わってくるかと思います)。
- 目標:データ入力時間を〇Hに圧縮する。
- 現状:△Hである。
- 問題:□Hオーバーしている。
- 課題:入力しやすくする。
- 対策:入力フォームを改善する。
分かったつもり
つまり、問題を洗い出し、課題を特定し、対策(具体的な解決策)を導く、といったステップが必要になるのですが、今回の資料では、本来意味するところの「課題」が抜け落ちていたため、対策の根拠が曖昧で具体性に欠けていたのです。
このため、メンバー間で言葉の意味を共通認識として正しく理解した上で、あらためて対策を立てるように軌道修正することにしました。
今回の例を通じて、言葉の意味を分かったつもりだったり、相手も知っているだろうとの思い込みによって、視点がぶれてしまうことがあることを、あらためて思い知りました。
それを防ぐためにも、何気なく使っている言葉の意味や定義をあらためて言語化して、共通認識として共有すると良いのではないでしょうか。
あなたは破天荒??
さて、冒頭の文章ですが、本来の意味を別の言葉で表すと以下のようになります。
冒頭の文章:「彼は、がぜん思いついた破天荒な施策をすべからく実行すべき、と思った。」
本来の意味:「彼は、突然思いついた誰も成し得なかった施策を是非とも実行すべき、と思った。」
「がぜん」「破天荒」「すべからく」は、文化庁が発表した令和2年度の「国語に関する世論調査」の結果によると、本来の意味の正解者はそれぞれ、23.6%、23.3%、54.8%とのことでした。
会話する相手と言葉の共通認識を持っていたなら、意思疎通も図りやすくなりますね。
今回のコラムの内容が少しでも参考になりましたら幸いです。
参考
文化庁 国語に関する世論調査
令和2年度「国語に関する世論調査」の結果について(PDF:6.7MB)