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餅は餅屋になるために

PJ活動お役立ちコラム
第61回 2022年1月25日
餅は餅屋になるために

“餅は餅屋”とは、お餅はお餅屋さんでついたものがいちばん美味しいのだから、その分野のことはその道の専門家に任せたほうがうまくいくという例えです。過去のコラムでも言及はあったかと思いますが、先日、これにまつわり考えさせられることがあったので共有したいと思います。

納品物は問題ないはずだった

とあるプロジェクトの方からお客様に提出する操作手順書の改善について相談がありました。プロジェクトで作成した手順書をお客様に提出したところ品質が良くないとやり直しの指示を受けてしまったとのことでした。
納期までに時間がなく、こちらでやれることはかなり限定的な状況でしたが、手順書として利用する方々が読んだ時に少しでも読みやすく、分かりやすくなるよう最大限の手は尽くしました。
結果、お客様からも概ね好評でプロジェクトとしての役割は無事果たせたようでした。

ここで冒頭の餅は餅屋の理屈で言えば、プロジェクトの最初から手順書の作成については専門家に任せておけば良かったのではとなるのですが、そもそもこのような事態を想定していなかったようなので気づくこともできなかったのです。

“お客様の業態では、このような形式でこのような説明のしかたが通常”との認識があり、それに準拠していたのでやり直しの指示が来たことにはかなり驚いたようでした。
少々宣伝めいてしまい恐縮ですが、当社は長年、マニュアルやドキュメント類の制作に携わっており、もし事前に相談があれば、ユースケースの紹介やお客様からの要望に対する達成度を判定することも可能でした。
しかし、「問題ないはず」と思っていることにリスクを見出すことは難しいことです。
また、見込んでいないコストが発生することをしようとも思わないでしょう。

想定力を駆使して…

“納品物を見てびっくり”という状況を引き起こし、結果として後戻り工数/コストが発生してしまいました。これらを未然に防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
今回のケースで言えば、納品物に関して事前にお客様とコミュニケーションを取り、期待値との差がないか。ある場合にはどうしていくかを双方で合意しておくべきでした。
また、納品のシステム等を現場の方たちが日々使うものである場合には、使う人(お客様のお客様)のことにも思いをはせ、どんな手順書等があれば円滑に業務が進むかといったことまで想定できれば、逆にお客様に提案できたこともあったかもしれません。

“餅は餅屋”は、その道のプロに任せるということわざですが、そもそもその道のプロに任せるべきことなのかが分からないと頼むこともできないわけです。

“餅は餅屋”になるために

一方、サービスを提供している側もどの部分が“餅は餅屋”なのかを伝える方法を考えなければなりません。
先日、サービスについて「求めていない人に求めさせるのは無理なこと。」「求めていない人に求めてもらえるようにするという考えは幻想である。」と話してくださった方がいて、まさに今回がこの状態でした。
最終的に困ったときに、藁をもつかむ思いで形にできたとしても、経験と気づきをプロジェクト側で共有しておいてもらわないとまた同じことを繰り返してしまいます。
これを回避するには、我々も一時の支援として終わらせるのではなく、当初から考慮すべき点であることをお伝えし、形として残していく活動を地道に進めていかなければいけないことを改めて認識しました。
プロジェクト活動で当初の目的を達成させるためには、俯瞰的に全体をリードしていく必要もありますし、今回のように現場に近い立場からボトムアップでリードしていく必要もあります。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。