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コミュニケーションの『聴く』を意識してみる

PJ活動お役立ちコラム
第59回 2022年1月11日
コミュニケーションの『聴く』を意識してみる

円滑な業務遂行やプロジェクト遂行にはコミュニケーション能力が重要であること誰もが理解していますが適切にその能力を使える人はどれぐらいいるのでしょうか?

コミュニケーション能力には「言語」と「非言語」の2つの手段があり、それぞれが以下2つの要素で構成されています。

  • 伝える(話す)
  • 受けとる(聴く)

古代ギリシャの哲学者エピクテトスが次のような言葉を残しているように
「神は人間に1つの舌と2つの耳を授けた。しゃべることよりも2倍多く聞くために。」
私たちに重要なのは、話すことよりも「受けとる(聴く)力」です。

しかし、コミュニケーションに課題がある場合や能力をのばそうとする場合、多くの人が伝え方や話し方ばかりに意識を向けているように思われます。
また、世間のコミュニケーション関連の書籍や教育を見ても、伝える力や話す力についての内容が圧倒的に多いのも事実です。

そこで今回は、忘れられがちな『受けとる(聴く)』について焦点をあて、「聞く」ことが我々の人生を豊かにしてくれることを、豊富な実例で説明した本をご紹介します。

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著者:ケイト・マーフィ
監訳:篠田 真貴子  訳:松丸 さとみ
書名:LISTEN ―知性豊かで創造力がある人になれる―
発行:日経BP
発行年:2021年8月
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※本書では意図的に「LISTEN」する中で大きく異なる2つの姿勢を
 「聞く」と「聴く」で区別しています。詳細は本書をご覧ください。

「聞くこと」が忘れられ、「話をきちんと聞いてもらえた経験」が少ない

本書では、最初に以下2つの問いかけをしています。
「あなたが最後に、誰かの話に耳を傾けたのはいつだったか、覚えていますか?
次に何を言おうかと考えたり、ちらりと携帯電話を見やったり、相手の話をさえぎって自分の考えを話し始めたりせずに、本気で聴いたのは?」
「誰かがあなたの話を本気で聴いてくれたのは、いつだったでしょうか?
誰かが自分の言葉に注意を向けてくれ、的を射た反応をしてくれて、本当にわかってもらえた、と最後に感じたのはいつ?」

この問いにしっかりと答えられる人は少ないのではないでしょうか。
大半の人が、自分の意見を言うことばかりを考え、「聞くこと」を疎かにしています。

「聞く」という行為に何よりも必要なものは

なかには「きちんと聞いているよ」という方もいらっしゃるかもしれません。
うなずいたり、おうむ返しと言った傾聴は「聴くこと」の一助になるかもしれませんが十分ではないのです。
では、何が必要なのでしょうか?
それは「好奇心」だと本書では語っています。
好奇心を持って話を聞き、質問する。
そうすることで、理解したい、つながりたい、そして成長したいと思うことができ、思い込みからくる予想をひっくり返してくれる。
「聴くこと」の核心は、「何が重要か」を探り当てることだと教えてくれています。

「聞くこと」は人生を豊かにしてくれる

本書から「聞くこと」についてのさまざまな学びがありますが、円滑な業務遂行のみならず、人生を豊かにするためのヒントの一部を以下にご紹介いたします(詳細は割愛)。

  • 「会話」には我慢という技術がいる
  • チームワークは、自分が話をコントロールしたいという思いから手放したところにやってくる
  • 話をコントロールしようとすると、逆に進まない
  • 「アドバイス」をしだす人は、きちんと相手の話を聞いていない
  • 人として成長する唯一の方法は、反対意見に耳を傾けること
  • 「自分の聞きたいようにしか聞かない」人はだまされやすい
  • 決めつけや、「自分はすごい」と見られたいだけの質問はご法度
  • つじつまが合わない会話をそのままにしておくことは、重大な失敗の最大の要因になる (会話でわからなかったところをきちんと確認すればチャンスを見逃さない)
  • 人間関係を破綻させるもっとも多い原因は相手の話を聞かないこと
  • 「聴くこと」は、創意工夫の原動力
  • 話に素直に耳を傾けるには、冒険心がいる
  • いい質問のウラには、「救ってあげよう」「助言してあげよう」がない
  • 相手の状況を「感じとる」のが、深く聞くこと
  • 耳を傾けると、相手の問題解決の能力も上がる
  • 「聴く」ことは自分の狭い視野を広くする
  • 聞くことで、他人の才能も共有できる

さいごに

我慢強く好奇心を持って相手の話を「聞く」ことに慣れていない私たちには「聞くこと」のハードルが高く感じるかもしれませんが、ご安心ください。
本書では、努力すれば、「聴くこと」は上手になる、と教えてくれています。
聞く機会は業務上だけでなく、日常にもあふれています。
誰の話をどのように聴くかは、自分の意思で決めることができます。
よりよい自分になるために、業務を円滑に進めるために、コミュニケーションの『聴く』を意識して少しずつ行動してみませんか。

今回のご紹介がみなさんの活動のご参考になりましたら幸いです。