Displaying present location in the site.
チェックでミスを弾けなかった理由
PJ活動お役立ちコラム
第57回 2021年12月28日
チェックでミスを弾けなかった理由

今回のコラムでは、文書作成やデータ入力においてありがちな記述ミスのチェックについてお話ししたいと思います。
読者の皆さんもプロジェクト活動や社内業務などあらゆる場面で文書作成やデータ入力など行われていて、日常的にミスがないかチェックされていると思います。筆者も日頃から他のメンバーの文書をチッェクする場面もあれば逆にチェックしてもらことも多々あります。
・・・ここまで読まれて文章がおかしいことにお気づきでしたか?上記文章の中で、「チェック」とすべきところが「チッェク」となっているのと、「もらうこと」が「もらこと」になっています。実はこれはミスではなく、わざとおかしな文章にしています。チェックすることを意識して読めば気づくレベルかと思いますが、今回はこのようなミスのチェックについて取り上げたいと思います。
チェックでは弾けない?
先日のこと、とあるプロジェクトのメンバーが、資料の記載内容のチェックを他のメンバーに依頼しました。記載した情報は他の資料からの転記でしたが、記載した本人は時間をおいて2度セルフチェックをしており、自信をもってチェックを依頼しました。チェックを依頼したメンバーにしてみれば長年続けている慣れた作業だったのですが誤字レベルの記載ミスが見つかったのです。
もちろんミスを作り込まない作業上の工夫をすることに越したことはありませんが、それでもミスは発生しました。そして、今回話したいのはなぜチェックでミスを弾ききれなかったのかということです。お気づきかもしれませんが、これは冒頭のおかしな文章とも関係しているのです。
タイポグリセミア現象
ここで、冒頭のおかしな文章についてあらためて取り上げたいと思います。冒頭のように、文中の文字が違う文字に置き換わっていたり抜けていたりしても、気づかずに普通の文章として読んでしまうことがあります。このような事象については何年か前に話題になったことがあるのを覚えている方がいるかもしれません。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。人間が文章を読むときは、単語に含まれる文字ひとつひとつを見て理解しているのではなく、単語をひとつのかたまりとして視覚的に認識しています。このため、文字が微妙に異なっていても、前後の文脈などから頭の中で勝手に補正されて、誤りに気付かずに読めてしまうとされます。このようなことを「タイポグリセミア現象」と言い、これを逆手に取った宣伝広告が過去に話題になったこともあります。
前述したセルフチェックの例では、時間をおいて2度セルフチェックしたにもかかわらず、誤字レベルのミスがありました。もちろん時間をおいてチェックすることは、頭を切り替えて新たな気持ちで確認できるので有効な手段と言えます。しかし、今回の例では、文章として読み込み、書いてある内容が不自然でないか確認したものの、明らかに文字ひとつひとつを追っているわけではないためチェックで弾けなかったのです。
視点を変える
皆さんは日頃から文書やデータのチェックの際には以下のようなことは基本として行われているかと思います。
- 第3者視点でクロスチェックする
- 時間をおいて確認する
- チェックリストでチェックする視点を確認する
今回取り上げたようなミスに関しては、文章の内容に誤りがないか、文字そのものの誤記はないか、といったように違う視点でのチェックをするとよいでしょう。また、これらがチェックリストの項目に無い場合は追加して、意識してチェックすることを心がけると良いかと思います。
今回のチェックの視点については、多くの方がすでに意識して取り組んでいることかもしれません。しかしなぜその視点が必要なのか、その理由についてあらためて理解しておくと取り組む姿勢も変わってくるかと思います。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。