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アンケート調査のちょっとしたコツ

PJ活動お役立ちコラム
第56回 2021年12月21日
アンケート調査のちょっとしたコツ

皆さんの業務で、アンケート調査を行うことはありますか。プロジェクトを進めるうえでも、顧客やエンドユーザーの声を意識することはとても大事です。業務システムの開発やプロセス見直しを意図したプロジェクトであれば、事前に意識調査・ニーズ調査を行うかもしれません。また、プロジェクト終了後に顧客からフィードバックをいただくためのアンケートを実施することもあります。でも、いざアンケートを実施する側になると、質問項目の立て方から回答の集め方まで、とまどうことばかりだと思います。
今回は、そんなアンケート調査について、本当に触りだけですが、お話ししたいと思います。

アンケートの種類とノウハウ

ひと口に「アンケート」と言っても、手段や目的によって実に多種多様なものがあります。電話や郵送による調査とインターネットを用いる調査、対象の選定・抽出方法、記名にするか無記名(匿名)にするか、社名や役職名などの属性情報をどこまで採取するか、結果の保管期間や個人情報の扱いをどうするかなど、アンケート設計の段階で考えることは山ほどあります。そして、その1つ1つの要素ごとにテクニックやノウハウの研究が積み重ねられています。挙げていくと切りが無いのですが、書籍やWebでぜひ調べてみてください。

主な設計項目

アンケート対象 人数規模、対象の選定方法・抽出方法、など。通常は結果に偏りが出ないよう対象者の選定に様々な工夫が取られます。
アンケート媒体 現在はインターネットが主流、ほか郵送、電話、街頭調査など。
アンケート方法 自社サービスやアプリを使用、外部サービスを利用(有償・無償)、専門業者に委託、など。
属性情報の要否 記名式か無記名(匿名)式か、社名や役職名などの回答を必須とするか、など。
リスク管理 個人情報の管理、回答結果の管理、目的外利用の防止、などのリスク対策。
スケジュールと段取り 回答期日の有無、回答期間や集計期間の設計、告知日と告知方法の設計。
アンケート項目 設問数、順序、回答方法(記述式か選択式か)、など。

この場ではそういったものを全て取り払って、本稿筆者がいつも気を付けている2つのポイントを紹介します。

  1. 必要以上に質問しない
  2. 1つの質問では1つのことしか聞かない

必要以上に質問しない

顧客やエンドユーザーの生の声を聞くチャンスというのは滅多にありません。せっかく手間とコストをかけてアンケートを取るのならと、ついつい多くの質問をしてしまいがちです。が、アンケートの設問数が多いと、回答回収率が目に見えて下がります。セミナーや展示会のアンケートに答えるときに、質問が用紙の裏表にずらっと並んでいて、回答する前から気持ちがなえてしまった経験はありませんか。また、設問数が多いと、とくに後半の設問で回答の精度が落ちるという調査もあります。回答する側も疲れてしまい適当に答えてしまうんですね。
もちろん、アンケートの目的や回答者との関係性などにもよるので一概には言えませんが、筆者は、質問数は少なければ少ないほど良いと考え、常にボリュームを減らすことを意識しています。

1つの質問では1つのことしか聞かない

これもうっかりやってしまいがちなことです。以下は、よく挙げられる例です:

 Q:あなたは、この商品の機能やデザインに満足していますか。

この質問に対して、機能には満足しているがデザインに満足していない人がいたとしたら、YES/NOどちらで答えるかわかりませんね。ここでとくに問題なのは、集計結果として使えないということです。もしかしたら、設計部門から商品の「機能」や「デザイン」についてユーザー調査してほしいというリクエストがあったのかもしれませんが、このままでは「機能」の満足度も「デザイン」の満足度も正確に測れません。
前項の通り質問の数は少ない方が良いのですが、だからといって、1つの質問で2つのことを聞いてしまうのはもっと良くない、ということです。
専門用語で「ダブルバーレル質問」と呼びます。興味がある方はWeb等で検索してみてください。

さいごに

最後に、何より大事なのは、何のために調査を行うかです。アンケートに回答していただく方々には多少なりとも負担を掛けます。「これ何のためのアンケートなの?」と思われてしまうようだと、以降の仕事にも悪影響を及ぼし兼ねません。せっかくアンケート調査を実施するなら、文字通り時間と労力の無駄になってしまわないよう、事前にしっかり設計を行うことをおすすめします。