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今こそペンと紙でプロセス見直しを

PJ活動お役立ちコラム
第55回 2021年12月14日
今こそペンと紙でプロセス見直しを

今、それ?!と思われたかもしれませんね。
今回のお話は、業務プロセスの改善をしたものの、実は見落としがあり作業者の負担軽減に最大の効果が発揮できていなかったことへの取り組みについてです。

私のチームには、かれこれ20年近く続いている業務があります。様々な業務の見直しの中においても
製造過程においてどうしても無くせない業務であるため、いかにして効率化・品質改善を図るか、私のチームで引き取ってからも取り組んでいます。その取り組みの結果として、プロセスはかなりシンプルなものにできました。
しかし、それでもなお負荷の偏重があり、なすべきタスクがクリアできていないという事象が発生してしまったのです。

見落とされがちな属人化作業

業務改善の際、プロセスの見直しとともに使用ツールや帳票類なども合わせて改善が図られます。
私たちもムダを徹底的に省くため、不要なプロセス、特に結果的に二重で同じことをしているものを排除したり、何のためにやっているのか分からない作業をやめたりしてきました。

ある時、メンバーに必要な情報を確認すると回答までに時間がかかりました。
その情報はデータを集約しているExcelを開いて見れば一発で回答できるものになっているはずなのに不審に思い訪ねたところ、作業プロセスは滞りなく進んでいるもののそこで得たとある数値をExcelに転記するのを怠っていたためだということが分かりました。

この怠っていたというのも別にさぼっていたということではなく、既に別の方法で数値は得られるために、ついExcelに転記する作業を後回しにするうちにどんどん未記入のものがたまってしまったという顛末でした。
根本的な原因は、引き継いできたのが作業者であり、作業者にしか分からない帳票類の扱いが盲点になって
いたことでした。
帳票類の記載や扱いは「やらなければならないこと」として受け継いでおり、過去のプロセス見直しの際にもその帳票類に記載する事項がきちんとムダなく得られるかという観点で作業を点検していました。
結果としてプロセスからはみ出す帳票類はないものの、帳票類に記載する「項目」そのものは「必要なもの」として大きく見直すことなく進めていたのです。

入れるべきメスはまだあった

「やらなければならないこと」と引き継いでいたメンバーからすると帳票類にメスを入れることは考えられず、プロセスがシンプルになればなるほど、見落とされた負担としてのしかかっていました。
私から見ても複雑怪奇な帳票類でしたが、私もまた「やらなければならないこと」として「記入する」「転記する」といった言葉でプロセスの中に入れ込んでしまっていました。
入力遅延が起こって初めて、ここにも入れるべきメスがあることを思い知ったのです。

その際に取り出したのが大きな模造紙とペンです。
この時代ですので、ソフトなどのツールを使ってオンラインでも取り組むこともできたと思いますが、あえて時間を決めアナログな紙とペンで帳票類の見直しに着手しました。

複雑怪奇と書きましたが、帳票類は数種類あり、共通で管理できそうでも用途が違う。こちらの数値を確定させるためにはあちらの帳票から別の数値を持ってきて…とかなり入り組んでもいるものでした。
その関係性を紐解くために紙に書き、線をつなぎ、要/不要を議論しました。

「引き継いでいたから…」をなくす

そもそも何のために帳票類に数値を記入し残さなければならないのか。目的もないまま漫然と管理しているものはないのか。既存の帳票類の見直しではなく、「そもそも何のため?」を合言葉に徹底的に見直しました。
結果今では、必要なものしか管理していませんし、読み解くのも難解でメンテナンスするにも属人化していた帳票類もシンプルで理屈が分かりやすいものになりました。メンバーの負担も(心理的負担も)かなり軽減されています。

たかだか帳票類の見直しで少々大げさな内容だったかもしれませんが、みなさんの業務の中でも「これはこのままでいい」「引き継いだからやらなければならない」と目をつぶっているものはないでしょうか。
業務遂行メンバーのがんばりで維持できているという業務はないでしょうか。
自動化や効率化を求められる昨今、そのスピードを上げるためにも紙とペンで議論することで打開の糸口やメンバーの腹落ちが得られるかもしれません。
今回の内容がみなさんの活動に少しでもお役に立ちましたら幸いです。