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「チャレンジ」と「失敗」は単品注文できないセットメニュー
PJ活動お役立ちコラム
第54回 2021年12月7日
「チャレンジ」と「失敗」は単品注文できないセットメニュー

みなさんの経験において、「高い期待値を持ってスタートしながらも、想定通りの結果を出せずに途中で挫折せざるを得なかった製品・サービス・事業」はありませんか?
もしそのような経験があるならば、その失敗から得た学びをその後の業務に活かすことはできましたか?
今回は、著名な大企業の「攻めた失敗製品」20事例をもとに、製品の内容、チャレンジから失敗に至る経緯、失敗の理由、さらにはその失敗からわかるポイントが説明されている本をご紹介します。
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著者:荒木博行
書名:世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道
発行:日経BP
発行年:2021年10月
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本書では、どの企業も手痛い失敗をしていますが、そこで終わることなく、その失敗を糧に次の成功に向けてチャレンジをしていることがわかります。
先人たちの苦い失敗経験からの学びを得て、私たちはこれからどうしていくべきなのかを考えてみませんか。
事業構造と事業を取り巻く力学からの失敗
本書では、事業構造そのものを学ぶことができる失敗事例と、事業構造の外側にある「大きな力学」を学ぶことができる失敗事例について、以下4つのカテゴリで20例ほど紹介しています。
- 「ユーザー視点」を学ぶ
- 「競争ルール」を学ぶ
- 「社内不全」を学ぶ
- 「大きな力学」を学ぶ
今回はその中の「ユーザー視点」について考えてみたいと思います。
私たちは、ユーザーを本当に理解できているのか?
この問いに対して、自信を持って「Yes」と答えられる人は多くはないと思います。
各社のユーザー視点での失敗について、本書では以下のような原因が紹介されています。
- ユーザー視点と自社視点という立場のバランスにおいて、自社視点に重きをおいた
- ユーザーに関心を持ち続けるのではなく、社内的な正しさを追求した
- ユーザーよりも企業側の戦略や都合を優先した
- 機能や品質を重視して、ユーザーとのコミュニケーション作法を疎かにした
- 自社都合の曇ったレンズ越しに顧客を見て、真のユーザーの姿を見ることができなかった
誰しも心当たりがあるのではないでしょうか。
ユーザー視点で事業を遂行しているつもりでも、ビジネスという観点ではどうしても自社視点や自社都合が入ってしまいます。
加えて、ユーザーのニーズを正しく理解できず、意図せずにユーザーを軽んじることも発生すると、「真のユーザーの姿」からどんどん遠ざかってしまいます。
では、どうすればユーザーを本当に理解することができるのでしょうか。
本書では、自分のビジネスや企業の都合を一旦脇において、偏った思い込みも捨てて、ユーザーを素直に見つめることから始めるとよい、としています(詳細は割愛)。
言葉では理解できていたとしても、ユーザー視点に立って注意深く考えてみることは、なかなか難しいかと思います。
しかし、名だたる企業でさえも失敗してきたことからの学びは得難い教訓として、ぜひ我々の業務にも活かしチャレンジしていければ最高です。
さいごに
本書の著者は、この本を通して以下のメッセージを私達に伝えています。
「取り上げた著名な大企業たちは、手痛い失敗を経験しながら、その経験を教訓に変えて今日の成功へとつなげていっている。だからこそ、過去の失敗から学びつつ、過度に失敗を恐れずにチャレンジしてほしい。」
新しいことにチャレンジする以上、失敗は切り離せません。
「チャレンジ」と「失敗」は単品注文できないセットメニューなのです。
チャレンジをしないと何も始まりません。
成功することも失敗することも、何の学びも得ることができません。
失敗することを過度に恐れず、次の手も考えたうえでチャレンジすること。
そして、失敗から謙虚に学んで、すばやくリカバリをし、長期的な成功につなげること。
これらが私たちに必要なことだと本書が教えてくれます。
今回のご紹介がみなさんの活動のご参考になりましたら幸いです。