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ミライに向けた目標達成の仕方

PJ活動お役立ちコラム
第47回 2021年10月19日
ミライに向けた目標達成の仕方

今回は「ミライに向けた目標達成の仕方」というお話をします。
みなさんの会社や組織においても、「〇〇年度中期事業計画」や「ありたい姿」などの設定は行っているかと思います。このような未来を見据えた目標を設定する際、どのようなことに注意しているでしょうか。「こんな目標を打ち出して、本当に実現できるだろうか?」、「社員やメンバーは、ちゃんとついてきてくれるだろうか?」、「そもそもそんな先のことなんてどうなるか分からないし・・・。」などの不安や疑問を感じた経験は誰しも一度や二度はお持ちかも知れません。当社でも5年後を見据えた中期計画やありたい姿をしっかり描き、その目標達成に向けた活動を推進していくことが求められています。
今回はこのような状況のとき、どんなことに気を付ければよいか、わずかな経験の中からお話し、少しでも皆さんの参考になればと思っています。

目標は誰が決めるのか

初めに大事なことは、「その目標は誰が決めるのか」ということです。つまり、「目標設定の主体者は誰か?」ということです。

たとえば、管理職、または組織の幹部だけで決めたものか、あるいは広く社員やメンバーの意見を取り入れて決めたものかによって、活動のプロセスは変わってくると思いますし、そもそも目標に対する納得感(腹落ち感)に差が出て、ひいては、目標達成(実現)の可能性が大きく左右されるものだと思います。誤解のないようにお話すると、これは何も「幹部だけで目標設定することが悪い」と決め付けている訳ではありません。それは、会社やその組織ごとの文化や風土に応じて、より最適な方法を選べば良いと思います。
ただし、ここで注意しておきたいことは、余程のカリスマ経営者や上司のいる会社でない限り、目標(特に、未来に向けた目標)は、全員参加型で決めたほうが、実効性の高い目標設定ができる傾向が強いのではないか、と思います。市場環境や顧客ニーズの変化の激しい昨今、常に最新の情報を持っている、または、持てる環境にいるのは誰か、ということには注意したいところです。

その目標に夢はあるか

次に注意したいことは、「その目標はワクワクする内容になっているか」ということです。

悪戯に難易度の高い目標や、逆に「今月・今期の目標」のような近視眼的な目標では、関係者のワクワク感は醸成されません。ここが一番の難所だと思いますが、近すぎず、遠すぎずの匙加減に注意しないと、「そもそも、この目標は何のための目標なのか?」という具合に活動途中で方針がブレたり、目標達成に関係ない活動を容認せざるを得なくなったり、達成を阻害するマイナス要因が次々と発生し、結局、現状と大して変わらない未来を手にすることになりかねません。
それを防ぐためには、「社員やメンバーの未来に対する要望」や「今後どんな仕事に携わり、どんな成果や実績を手にしたいか」、「そのことは本人の成長や会社の発展に繋がることなのか」、こうした社員同士の深いコミュニケーションを通じて、自然とメンバーのモチベーションが高まるような目標を設定することが、何よりも大事なことだと考えます。このことは、上司の立場であろうと、部下の立場であろうと関係なく、こうした仕組み自体を組織に根付かせていくことが大切だと考えます。

その目標、本当に実現できる?

次に大事なことは、どんなに素晴らしく夢のある目標を設定しても、それが実行され実現されなければ、まったく意味がないということです。

「上司や幹部など上司層の想いはしっかり表現した」、「社員やメンバーも夢とやる気を持ってくれている」、しかし、その状態だけで目標達成はできません。なぜなら、一人ひとりの社員には、遠い目標達成のための活動とは別に、日々納期や品質維持に追われる厳しい日常業務を抱えているからです。意外にこのことは見落とされがちです。
人は誰しも、納期の遠い仕事と納期の近い仕事とでは、納期の近い仕事を優先するものです。そのこと自体、間違っているとは言い切れないものです。そのため、たとえば、未来のためのKPI(重要業績指標)活動などは後回しにされがちなものだと思います。結局、週次のミーティングや1on1などの場で、進捗状況を確認しても、「今週は時間がなくて活動できませんでした」、「来週も予定がびっしりで活動見込みが立ちません」などの会話が、あちらこちらで起きかねません。筆者もそのような不毛な会話を幾度となく経験しました。

そのときに得た気づきは、「日常の業務と未来のための活動との間に乖離や溝があってはだめなんだ」ということです。つまり、メンバーから見たとき、両者が別物であり、別活動として受け取られるような目標は、「そもそも未来に向けた目標として相応しくないんだ」ということでした。

日常業務の中に、いかに未来の事業に関するエッセンスを混ぜ込むことができるか、そのことができる組織とできない組織とでは、おのずと組織力に差が出ますし、ひいては事業の継続や発展を左右しかねない重要な組織要件になると思っています。
たとえば、設計に携わる仕事なら「その設計思想に未来のシステム思考のタネは盛り込まれているか」、サービス提供に関わる仕事なら「5年後、10年後の提供価値を意識して、今の価値レベルを起点とした価値向上のマイルストーンが描けており、すでにその方針に沿った活動が実践できているか」、など、みなさんの普段のなにげない日常業務の中に、明るい未来を切り開くことに有効な活動(エッセンス)はどのくらい入っているでしょうか。
一度立ち止まり、振り返ってみることを強くお奨めします。

今回の内容が、お役に立てば幸いです。