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PJ活動が理解されなかった理由
PJ活動お役立ちコラム
第39回 2021年08月24日
PJ活動が理解されなかった理由
社内にシステムを導入したいが、利用対象部門の協力がなかなか得られず計画通りに導入が進まない。このような経験はありませんか。あるいは、導入推進PJから利用を促されたけど面倒だな、と思ったことはありませんか。今回は筆者が以前経験した、社内システムの導入が思うように進まなかったPJについてお話しします。
社内システムというと、人事給与や財務、販売や在庫管理などといった、企業の運営に関わる基本的な「基幹系システム」や、グループウェアやスケジュール管理、またはワークフローやナレッジ共有のように、業務の効率化、円滑化を目的とした「情報系システム」があります。
今回お話しするのは「情報系システム」の導入時のこととなります。
そのシステム必要?
何年も前のことですが、業務の効率化によって工数や費用を削減したく、とある情報系システムの導入計画を綿密に立てて導入を図りました。大まかに言うと、全社向けをはじめとした導入や操作の説明会を経て、導入を開始する計画でした。
しかし説明会を実施するにつれ雲行きが怪しくなってしまいました。個別説明会の日程や導入そのものについて、様子を見たいとの理由でリスケを要求されることも。
なぜこのようなことになったのか。答えは説明会時の質疑の中にありました。
導入説明会の質疑応答時に多く上がった声は以下でした。
- 通常業務が忙しくて使い方を覚える時間がない。
- 使いこなすのに手間がかかりそうだが、そこまでして使う必要があるのか。
- これを使うメリットが分からない。
つまり、システム導入の目的や効果を説明したつもりでも、多くの社員が納得するまでには十分に伝わっていないため導入メリットが感じられず、説明会への参加や操作を覚えることが無駄と感じていたのです。
基幹系システムは、ほとんどの場合、全社で統一され全社員が利用必須のシステムともいえます。一方で情報系システムは、極端な言い方をすれば必ずしも利用しなくても業務を遂行することができます。情報系システムは導入を開始したところで利用されなければ意味がありません。このため、まずは導入の目的や効果を理解してもらい、限られた時間で操作に慣れるようサポートする必要があります。
では今回の例ではどのような対処をとれば良かったのか考えてみましょう。
導入促進に向けて
導入効果の共有
導入のメリットとして工数や費用の削減効果をより明確にすべきでしょう。このような場合、大抵は説明会資料に記載していることと思いますが、大まかではなく導入部門が自分事としてイメージしやすいように、人員数や件数を明示しながら半年後や1年後の効果を記載すると良いでしょう。
情報の共有
システムの導入においては説明会での質疑の他にも、個別の問い合わせが数多く寄せられますが、その中には同じような内容の質問が必ずと言っていいほどあります。その質問を受けるたびに同じ回答を繰り返すよりは、説明会資料や操作マニュアルに追記したり、QA集として公開するなどすると良いでしょう。
導入説明会や操作方法などは動画にしていつでも参照できるよう共有するのも良いでしょう。
推進者との協働
導入PJだけで導入を推進するには限界もあります。各部門に導入PJの活動を理解してもらった推進メンバーを立て、それぞれの部門への導入を促進する役割として体制を作ると良いでしょう。
効果測定と改善
導入を開始しても利用されなければ意味がありません。利用状況や利用者の声を半年もしくは1年ごとに集め、課題があれば改善し、さらなる利用を促進すると良いかと思います。
おわりに
今回は、社内システム導入の理解とその対処について話をしました。お気づきかと思いますが、ここで上げた内容は必ずしも社内システム導入に限った話ではなく、関係者を巻き込みながらプロジェクトを進めている皆さんは当たり前のように行っていることかと思います。今後このようなPJに限らず新たに協力を求めるような際に今回の内容を思い出していただければ幸いです。