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プロジェクトメンバーのオンボーディング
PJ活動お役立ちコラム
第38回 2021年08月17日
プロジェクトメンバーのオンボーディング
皆さんは自分のプロジェクトに新しいメンバーを迎え入れるとき、どうしていますか。
何十人もが関わる大規模なプロジェクトや数年スパンの長期プロジェクトでなくても、外部環境の変化などによりメンバーの増員や入れ替えはしばしば発生します。そんなとき、忙しさにかまけて事務的な「受け入れ」だけ行い、あとは成り行きに任せたりしていませんか。
企業人事の領域では、近年、新入社員や中途入社の社員を受け入れに際して「オンボーディング」という新しい概念が用いられています。今回は、進行中の社内プロジェクトに後から加わったメンバーのオンボーディングについて、考えてみたいと思います。
新入社員のオンボーディング
新入社員の受け入れ施策は多々ありますが、わざわざこの表現を使うときには、教育や研修のように「仕事を覚える」ことに主眼を置くのではなく、職場や組織に「馴染む」ことから始まる中長期的なプログラム全般を指すことが多いようです。新入社員が抱えがちな不安や業務遂行上のとまどいを当人任せにせず、配属先の上司や同僚が意識的にサポートすることで、新入社員がパフォーマンスを発揮し始めるまでの時間を短縮しつつ、同時に離職リスクも低減しようというものです。
プロジェクトメンバーのオンボーディング
新入社員とは少し事情が違いますが、ある程度プロジェクトが進んだ段階で後から投入される新メンバーもまた、人間関係や仕事の進め方などに対して、多かれ少なかれ不安を抱きます。皆さん自身も経験があるのではないでしょうか。
新入社員のオンボーディングでは、「初日」「最初の1週間」「1か月「半年」など期間で区切って計画を立てることが多いようです。これに倣って具体的なプランを考えてみましょう。
受け入れ初日(ないし最初の1週間)
メンバーへの紹介。メールやSNSで済まさず、ごく短時間であっても対面もしくはオンライン会議を招集できると良いです。ここでの目的は「馴染む」こと。あえて仕事を離れた雑談を交えて会話ができるようにすると効果が高まります。
プロジェクト概要や体制の説明。これはベテランを受け入れる際などはとくに割愛されがちですが、ぜひ実施しましょう。重要なのは、計画的に準備すること。プロジェクトの目標や進捗状況、ステークホルダーとの関係性など全体像を把握し、自身に求められる役割や作業レベルを理解するのに十分な資料を用意するべきです。
この他、「馴染む」ための人事施策としては、メンバーとのウェルカムランチ会や、毎日の始業時・終了時の5分ミーティングなどをプログラムに組み込むことが多いです。プロジェクトの規模やメンバーの状況によっては、これらの施策も有効かもしれません。
最初の1か月間
期間限定の相談相手(メンター)の設置。新入社員に対する人事施策では、「メンター」を定めて日常的な疑問解消に当たることが多いのですが、プロジェクトレベルのオンボーディングも同じです。たとえベテランのメンバーだったとしても、組織や業種あるいは顧客が違えばとまどう場面があるでしょう。ちょっとした勘違いや思い込みが作業後れの引き金になることもあります。気軽に相談できる相手を定めておくことはどんな人に対しても有効な備えであるはずです。
1か月後、半年後など
フィードバック面談の実施。どういう理由であれプロジェクトに途中から投入されたメンバーは、モチベーションが高い状態であるケースが多いはずです。人事の世界では良く「J字型カーブ」ということが言われます。入社当初は本人のモチベーションも高くパフォーマンスも高いが、数年内に自分が描く理想と現実のギャップに気付いてモチベーションが急低下し、その後10年くらいかけて徐々に高まっていく、という変化の軌跡をアルファベットのJの字になぞらえてこう呼びます。つまり、初期の、モチベーションが高く、パフォーマンスも上がりやすい状態をいかに維持するかが要点です。
1か月後、半年後など、ある程度の期間が過ぎた段階で、何ができたか、何ができなかったか、今後どうしていきたいか、などフィードバックの場を持つことをお勧めします。プロマネとその新メンバーとの1on1をイメージしてください。
プロジェクトの規模や期間によってはタイミングが見出しにくいかもしれませんが、「着任1か月後にフィードバック面談を行う」といったことを受け入れ前から当人にも伝えるなどして、計画的に実施することが大切です。
おわりに
実際の社内プロジェクトでは、後から投入されるメンバーの方が現メンバーよりも高スキルだったり、経験豊富であったりすることも少なくありません。顔見知りだったり別のプロジェクトで仕事をした経験があったりすると、お互いに遠慮が生じてしまうことがあるかもしれません。が、適切なオンボーディングは、必ず、新メンバー・既存メンバー双方に良い影響を及ぼします。ぜひみなさんのプロジェクトでも取り入れてみてください。