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メール対応と情報の活用
PJ活動お役立ちコラム
第29回 2021年06月15日
メール対応と情報の活用
プロジェクトや社内業務を行う上で、作業に関する依頼事項や問い合わせなどの連絡に、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールを活用しているケースが増えていますが、その一方で、従来同様に電子メールを利用しているケースも多いかと思います。
電子メールを利用する際は、当たり前のように様々な工夫をして活用しているかと思いますが、それでもメールを追いきれなかったり、見落としなどによって、その後の対応に支障をきたしている、ということを今でもよく耳にします。
今回は、以前相談を受けたプロジェクトの例を参考に、これらの対処について考えてみたいと思います。
なぜ対応が遅れる?
電子メールによる作業依頼や問い合わせ処理の悩みとして、メールを見落とす、メールが多くて追いきれない、過去のメールでのやりとりを探したいが見つからない、といったことがあるかと思います。プロジェクト管理ツールを使うまでもなく、最初のうちはメールでうまく回せていても、次第にメールが増えて回し切れなくなったという話も聞きます。
もちろんプロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールをうまく使いこなせば、これら悩みが解消することもあるかと思いますが、プロジェクトの規模や体制等によってそう簡単に移行できないケースも多いかと思います。
以前相談を受けたプロジェクトでは、特定業務の作業依頼や問い合わせ対応を一人の担当者が捌いている状況でした。その担当者は、メールの見落としを防ぐ対策として、確認すべきメールが他のメールの中に埋もれないよう、メールの振り分け機能を活用したり、状況が分かるようにメールにフラグを付けたり、メールタイトルにキーワードを使う、などといった皆さんもやられているような基本的なことは実施していました。
それでも対応が遅れてしまうのは、メール内容の確認に時間を取られたり、関連する過去メールを探すのに時間を要していた、といったことが根本の原因としてありました。
メール内容の確認に時間を取られる、というのは、作業依頼や問い合わせ内容が曖昧であるために、どのような依頼なのか再確認のやり取りを繰り返すことで時間を要すことになります。また、認識の齟齬により対応が不十分だったことがあとになって判明し、その対応に追われることもあります。
また、過去メールが見つからないのは、必要な情報がキーワードとしてきちんと書かれていないケースで発生しがちです。
定型化するということ
依頼事項や問い合わせ内容について抜け漏れがないようにするには、どうすればよいでしょうか。
今回の例では、依頼や問い合わせの様式を定型化して依頼者に送信してもらったり、返信する際も内容を定型化(例えば問い合わせであれば、問い合わせ日、問い合わせ内容、回答日、回答内容、クローズしたか等を項目化する)して返信することにしました。これによって、内容に齟齬がないことの確認にもなりますし、関連する過去メールでのやりとりを探す際に、項目名を検索キーワードにすることで探しやすくなります。
さらには、作業依頼や問い合わせ内容を誰もが確認できる状態になっていなかったため、課題管理表や問い合わせ回答集のように一覧化できる形への落とし込みも進めました。
先に述べたメール内容の定型化をしておくことで、一覧化もやりやすくなるとともに、一覧化した情報を関係者と共有することでノウハウの継承にもつながります。
また、今回の例は一人の担当者が受けている作業依頼や問い合わせが、当初の想定より増加しさばききれなくなったケースでした。前述した対処はそれほど特別なことをしているわけではありませんが、当たり前のようなことであっても、特に作業に慣れないメンバーに対しては、手が回せない状況に陥っていないか声を拾い、サポートすることが必要だとあらためて実感しました。
おわりに
今回のメール対応についてまとめるとこういうことです。
- 確認の繰り返しや齟齬の回避、過去メールの検索性向上に向け、伝える情報を定型化して送受信する。
- 定型化した情報を参考に課題や問い合わせを一覧化し、情報・知見を共有する。
- 特に作業に慣れないメンバーの声を拾ってサポートする。
メールには様々な情報が蓄積されています。メール内容の定型化や一覧化は、この情報を有効活用するための整理と捉えることができます。流れに任せて送受信を繰り返すだけではなく、のちの情報活用も見据えてメール活用方法を再考してみるのも良いのではないでしょうか。
今回の内容がみなさまの業務遂行に少しでもお役に立てば幸いです。