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プロジェクトマネジメント型仕事における「目的」の重要性

PJ活動お役立ちコラム
第26回 2021年05月25日
プロジェクトマネジメント型仕事における「目的」の重要性

今回は、プロジェクトマネジメント型の仕事について解説している本をご紹介します。

VUCAの時代と呼ばれる、予測不能なこの世の中において、仕事の仕組みが変わってきているのを実感しているのではないでしょうか。
従来組織では、実直に、正確に、迅速に、ルール通りに業務を処理する人が評価されていましたが、社会の変化が早く、ルール通りに対応できない事象が発生する頻度が上がり、従来の仕事のやり方では通用しなくなってきました。このような中、これからの仕事のやり方として、「目的」と価値観をもとに自分の判断で物事を進めて行く能力、つまり「プロジェクトマネジメント」の能力が必要になっています。

今回は、上記のように、仕事が「手続き処理型」から「プロジェクトマネジメント型」に変わると人生が豊かで楽しくなるということ、そして仕事の型を変えていくきっかけとなるように、筆者自身が経験から学んだプロジェクトマネジメントにおける「すべし」と「すべからず」のポイントについて教えてくれている本をご紹介します。

著者 :山口 周
署名 :外資系コンサルが教える プロジェクトマネジメント
出版社:大和書房
発行年:2016年

身につけるスキルの種類

キャリアとして身につけるスキルには以下の3種類があり、本当に自分の身を助けてくれるのは3だけで、プロジェクトマネジメントもここに該当するスキルだそうです。

  1. その会社で評価されるスキル
  2. その業界で評価されるスキル
  3. どの業種であっても評価されるスキル ←プロジェクトマネジメントのスキルも該当

では、3に該当するプロジェクトマネジメントのスキルを身に付けて、本質的な意味でより豊かで生産性の高い人生になるようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
本書では59個のポイントが説明されていますが、ここでは特に「目的」に焦点をあててご紹介いたします。

目的が不明確なプロジェクトはポシャる可能性が高い

最初に、「目的を持たない組織はやがて消滅することになりますし、目的を持たないプロジェクトが成功することは絶対にありません。」とはっきりと断言しています。
この言葉から「目的」がどれほど重要であるかがわかります。

<本書より>

  • 世の中には、実際には「目的」にはなっていないにもかかわらず、
    「目的」として掲げられている「手段」があまりにも多い。
  • 日本企業では「手段」ばかりが議論される一方で、
    「何のためにやるのか」という「目的に関する議論」がスッポリと抜け落ちていることが多い。

プロジェクトの目的と目標を明確化する

プロジェクトを開始する前に、プロジェクトの「目的と目標を明確化」させることが重要であると語っています。

<本書より>

  • 明確な目的と目標を持たないプロジェクトが成功することはない。
  • シンプルでわかりやすい目標は、プロジェクトメンバーの思考や行動の立脚点となる。
  • プロジェクトの目標には「合理的計算型」「ビジョン型」「ランダム試行型」の三つがあり、これらをうまく組み合わせる必要がある。

ことあるごとに「目的」に立ち返らせる

プロジェクトの開始段階では、この「目的」をことあるごとにチームメンバーへ伝えて浸透させることが重要であると語っています。

<本書より>

  • これは毎日プロジェクトの目的を唱和させろと言っているのではない。
  • プロジェクトの目的を伝えるのに最も適したタイミングは、「メンバーが判断に迷ってリーダーに相談してきた時」である。
  • 相談時のポイントは、決して教えず、質問を通じて「自分で答えに至る」感覚を覚えさせることである。

「行動」ではなく「目的」を伝える

プロジェクトメンバーから100%以上の力量を引き出すために大事なのは、「行動」ではなく、「目的」を伝えてあげること。「何をするか」ではなく、「何を達成したいのか」を伝える。そのうえで、やり方については任せるべきと語っています。

<本書より>

  • 力量が十分にあると思われる人には「目的だけ」を伝えて、あとは任せる。
  • 若干力量不足かと思われる人については、「目的と具体的な行動のヒント」を与える。
  • 力量不足・未熟な人については、「目的と行動」を一緒に伝える。

リーダーの仕事は「目的」を決めること

リーダーの仕事は、「率先垂範」ではなく、「目的を定めることである」と語っています。

<本書より>

  • 多くの研究は、「率先垂範」によって、組織は活性化するどころか、むしろ停滞することを示している。
  • 「目的を決める」ということと「手段を決める」ということを混同しないこと。
    (手段を決めてしまうとメンバーのモチベーションは著しく低下してしまう)

さいごに

プロジェクトマネジメント型の仕事を進めるうえで、身に付けるべき「目的」関連をまとめると、こういうことです。

  • 「手段」ではなく「目的」を明確に設定する。
  • 目的とともに、プロジェクト全体については、「ビジョン型」の目標を掲げてぶれさせない。
    そのビジョンを追求するために必要な要素に分解し、これらについては「合理的計算型」で数値目標を掲げる。さらにその上で、直感的な飛躍や創発を引き出すために、一部のリソースは「ランダム試行型」に振り分け、これら三類型を組みわせて強い組織を作る。
  • 目的ともに、プロジェクト全体については、「ビジョン型」の目標を掲げてぶれさせない。
    そのビジョンを追求するために必要な要素に分解し、これらについては「合理的計算型」で数値目標を掲げる。さらにその上で、直感的な飛躍や創発を引き出すために、一部のリソースは「ランダム試行型」に振り分け、これら三類型を組みわせて強い組織を作る。
  • メンバーの力量と状況を踏まえたうえで、できるだけ任せる。
    具体的な行動ではなく、具体的な目的・目標を伝えて人を動かすことを意識する。
  • 行動によって規範を示す「率先垂範」ではなく、「目的を決める」ことで、言葉によってゴールを示す。

以上、皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。