Displaying present location in the site.
見落としがちなプロジェクト情報の残し方のコツ(後編)
PJ活動お役立ちコラム
第22回 2021年04月27日
見落としがちなプロジェクト情報の残し方のコツ(後編)
データの時代に、プロジェクト情報を残すことの重要性はあらためて指摘する必要もないと思います。しかし情報の残し方にも様々なコツがあり、落とし穴があり、それを回避するための工夫と知恵があります。前回はそのなかで、近い将来のデータ活用を意識したプロジェクト情報の残し方について、ルールが必要な理由をお話ししました。今回はその続きです。
プロジェクトリーダーが、今すぐ実行できること
情報の残し方にルールが必要とはいえ、現実には、きちんとルール化できている組織・企業は、まだまだ少ない(ほとんど無い)と思います。それぞれのプロジェクトにおいて、プロジェクトリーダーが意志を持ってデータを残して行くしかありません。
これを読まれたリーダーの皆さんには、
- そのフォーマットは西暦年月日とすること。(年度や四半期や曜日などは後から計算できる)
- 自分自身およびメンバーの氏名をフルネームで記録すること。
- 所属や職位などの属性情報を残すのであれば何月何日時点の情報なのかを必ず付記すること。
といったことを、さっそく今からでも習慣づけることをお勧めします。必ず近い将来、役に立つ日が来るはずです。
プロジェクトメンバーの名前は何のために残す?
ところで、プロジェクトの目的や期間といた「概要」らしい情報はともかく、プロジェクトリーダーあるいはメンバーの名前をデータとして残す意味ってどこにあるのか、疑問に思ったことはありませんか?
個人の名誉のため?
それもあるかもしれませんが、「データの時代」においては、もっと重要な意義があります。個人名は、データ分析を行う際にデータ同士の紐づけを行うための「キー」として非常に有用なのです。詳細は省きますが、いわゆる「ビッグデータ」をコンピュータに扱わせるためには、個々のデータを他のデータと紐づけて「意味」を持たせる作業が必要です。この作業はいまも変わらず人間が手間暇かけて行うわけですが(データ分析の8割は前処理だとよく言われるのはこのことです)、このとき、人の名前はデータを探し出すときの重要な手掛かりになります。
これはプロジェクト期間についても同じことが言えて、日付情報はデータ分析の場面では非常に有益かつ重要データなのですが、前述したような「様式の混在」のせいで使えない、使い物にならない(正確には使える状態にするまでに非常に労力がかかる)ケースが実に多いのです。
ちょっとの手間と工夫で、将来「ノイズと言われてしまうかもしれない(むしろ害がある)情報」が、「非常に有益なデータ」になるのです。
2021年4月から「国宝 鳥獣戯画展」が開催され話題を博しています。小学校の教科書にも取り上げられあまりにも有名なこの作品ですが、実は作者も不明、作成年代もあやふやで、誰が誰の指示で何のために描いたのかもわかっていません。よく考えてみると、「国宝」とか「重要文化財」であっても、「作者不明」「~と言われている」といった曖昧な記載が多いですね。
これらも、描かれた当時は、あえて名前を出す必要がないほど有名な人が描いた作品だったのかもしれません。少なくとも、当時の作者は「名前を残す」「(作成)日や時期を記録する」ことに意義を見出せなかったのでしょう。実に惜しいことです。
皆さんも、せっかくプロジェクト情報を残すなら、近い将来のデータ活用を見据えてひと工夫しませんか。