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「改善活動」の成功には秘訣があります
PJ活動お役立ちコラム
第20回 2021年04月13日
「改善活動」の成功には秘訣があります
今回は、現場改善活動にフォーカスを当てたお話をしたいと思います。
皆さんの会社でも「改善活動」、特に現場からのいわゆる、現場改善活動をされているところもあるかと思います。私が以前、見学させていただいた会社の取り組みで、素晴らしいと思った事例を2点ご紹介します。事業貢献につながる改善活動の仕組みと成功の秘訣が散りばめられていると思います。
「見える化」と「責任所在の明確化」で形骸化させない
1つ目は、製造業のラインでの取り組みです。
その製造工程は、自社以外に他社も混在した製造ラインで構成されていました。
製造ラインですので当然生産性向上、品質向上を目指し、現場から日々改善提案を実施する風土ができていました(提案目標件数もありました)。
実務の中で感じている不都合や非効率を改善していく提案は、製造ラインに限らずあると思いますが、この会社の取り組みで素晴らしいと思った点が、「見える化」と「責任所在の明確化」です。
「見える化」は、提案内容を指定の用紙(A6サイズくらい)に記入し、掲示するところからスタート。どのラインからどのような改善提案が出されているのか、他チーム(他社)も確認することができます。
改善提案件数が見える化されると、競争心のようなものも少なからず出ていたかもしれません。
さらに、その提案内容に関して、最終ジャッジをするのがどこの誰なのかを明確にした上で掲示されていたのが秀逸でした。これが「責任所在の明確化」です。
例えば、作業現場環境の改善の場合、総務部 ○○部長 の欄にその提案が掲示されます。技術的な提案であれば、技術部 ○○部長といった具合です。
つまり、現場の小さな提案、それも他社からの提案であったとしてもすべてを受け取る担当部門、責任者が見える化されており、対応有無/対応時期などについて回答があるわけです。
この会社の場合は、この見える化されたボードを社長が定期的に見て、回答が滞っている部門があると指導をするという徹底ぶりでした。改善活動自体が目的になってしまわないようにトップも把握する活動にしていました。
現場での改善活動は現場内で終始して、部門全体や会社に知られることがないケースもあります。
現場の人たちはムダを省こう、非効率な作業を改善しようと提案します。その想いに会社として責任を持って対応することにより、改善活動を定着させ、更なる改善により会社に対する貢献の意識付けをし、提供製品に付加価値を付与する好循環が醸成できるのですね。
あるべき姿を上位層が明確にする
もう1つの事例は、現場での活動を促す目的を上位層が明確に示している事例です。
同じように製造業の取り組みですが、こちらは目指すべき成果を上位層が明示して、それを達成するために、各事業部、各部門、各チーム、各メンバーが何をすべきかが一気通貫で明確になっていました。
もちろん、最終的には各メンバーが、自身が何をすべきかの施策として提案し、上司と整合を取った上で日々の活動に落とし込みます。それを週次で進捗を確認し、遅れている場合にはリカバリ策を、どうしても達成が困難となった場合には、別の施策を走らせるというようなことも検討されていました。
この会社の場合、製造現場の改善ももちろんですが、いわゆる間接業務を担っている部門でも一人一人改善目標を掲げ、社内で誰もが見えるようにしていました。
全社の目標に対してそれぞれの立場でどのように取り組むか、またその進捗はどうか。こちらもその過程を誰もが見ることができる場所に掲示して改善活動を共通言語にしていました。
以上2点の事例を紹介しました。
改善活動をうまく進めるコツは...
- 活動の目的を明確にする
- 取り組みの過程を関係者で共有する
- 活動結果を受け止めるプロセスを決めておく
もし、改善活動がうまく進んでいないなと感じられたら、見直してみてください。
ともすると提案することや活動を報告することが目的のようになりがちですが、常に「何のために働いているのだっけ」と立ち返ることができ、それを一人で進めるのではない環境を構築すること、フィードバックを定期的にすることもとても大切であると思います。
改善活動が共通言語になり、上位層からメンバーまで同じ言葉で会話ができる環境になるよう、今回の内容がお役に立てば幸いです。