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「問題」と「課題」は落ち着いて整理する
PJ活動お役立ちコラム
第13回 2021年02月23日
「問題」と「課題」は落ち着いて整理する
目の前に問題が山積みになっている時、何から手を打ったらよいのか混乱することはないでしょうか。
特にプロジェクトが、「炎上」と言われるひっ迫した状態になってしまった場合などは、お客様との調整、納品物の品質・納期確保、社内外のリソース調整などに奔走することになってしまいます。
その際、目の前で起こっていることへ片っ端から手を打っても収束することはなく、むしろやることがどんどん増えて一層ひっ迫した状態になってしまうことも少なくありません。
起こっている問題の根本原因が何かを見極めて手を打たなければならないのです。
ところで、「問題と課題の違い」について部下やメンバーは正しく理解できているでしょうか。
「問題」と「課題」を今一度考える
部下のいらっしゃる方は、案件の対応や報告書、提案書など様々な側面で指導することがあると思いますが、言葉の定義のみならず、本質を捉えた行動になっていないと感じることがあると思います。
「問題と課題の違い」について、改めて説明することではないかもしれませんが、あるべき姿と現状のギャップが「問題」です。その問題を解決していくために具体的に取り組むべきことが「課題」です。
ずいぶん前ですが、私の上司が問題と課題について分かりやすい例えを示してくれました。
ありたい姿: | 昔着ていたお気に入りの洋服(Mサイズ)をもう一度着こなしさっそうと仕事をしたい |
問題: | BMI値が標準値よりも高い/甘いものがやめられない/運動をしていない など |
課題: | 消費カロリーを増やす/摂取カロリーを減らす |
施策: | ジョギング:5キロ/週3回、筋トレ:1時間/週2回、夕飯時の炭水化物抜き:週5回 |
場当たり的に問題に対応するのではなく、ありたい姿(目的)を明確にして、本質(課題)を見極めて、それを具体的な施策(行動)に落とすという例です。
表面的な対応になっている場合の説明として私もこの例えを何度も活用しました。
先日、とあるプロジェクトに関する150ページほどの報告書を読む機会がありました。
お客様の課題を捉え、それに対する施策を述べているものだったのですが、この「問題」と「課題」が適切に表現されていないため、途中の説明がいかに良くても全体が頭に入らず、心に響くことなく最後のページまでいってしまいました。報告書では、お客様の「課題」と「問題」がそれぞれ並列で問題点として列挙されており(分類されているだけで違いは分かりません)、そこからお客様の目的が導き出されていました。
このままですとこちらが想定している問題に対する打ち手として施策を立案・実行していくことになり、それが解決されるとお客様の目的が達成できるとなります。お客様のあるべき姿や問題の本質を見極めることなく話が進んでしまうわけです。「問題」「課題」の定義に立ち戻れば、そもそもの論理展開に破たんがあることは自明です。
「具体」と「抽象」を行き来する
冒頭の話に戻りますが、問題のないプロジェクトは世の中には存在しません。
事象として見えている問題を洗い出した後は、それらが起こっている本質的な原因を見極め、それに対する課題(解決策)を考えていきます。そうすることで、取るべき具体的な細かなアクションも出てきます。
具体的な事象を問題点として洗い出し、本質的な原因として抽象化。その後、解決策に対するアクションを具体化していくことで、取る組むべきことが確固たるものとして明確になるのです。
改めて、「問題」と「課題」は落ち着いて下記のように整理して進めてみてください。
- ありたい姿と現状のギャップを問題として洗い出す
- 問題の本質的な原因を見極める
- 本質的な原因への課題(解決策)を考える
- 具体的なアクションプランに落とし、活動する
ご自身のプロジェクトや配下のメンバーが問題山積みで混乱している時には、目の前の事象にばかりに捕らわれずに、真因に対して手が打てているかという視点で改めて活動を見直してもらうことをお勧めします。