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プロジェクトにおける「無礼な人の害」と「礼節の重要性」

PJ活動お役立ちコラム
第12回 2021年02月16日
プロジェクトにおける「無礼な人の害」と「礼節の重要性」

皆さんの職場やプロジェクトに「無礼な人」はいませんか?
その無礼な人に困惑しながら、そのままにしていませんか?

筆者もかつてプロジェクト活動において、無礼な人に出会い悩み、解決してきました。
そんな折、手にとった「職場の無礼」を研究した本。
その本では「職場の無礼」の研究から、「礼儀正しさ」が最強の生存戦略であると結論付けており、プロジェクト活動においても共感できる内容となっていました。

今回はその本の以下の内容を一部ご紹介しながら、開発プロジェクトでの対処についてお話しします。

  • 無礼な態度にはどんな害があるのか?
  • 礼節にはどんな利益があるのか?
  • 礼節を身に付けるにはどうしたらよいのか?
  • 無礼な人にはどう対処するのがよいのか?

今回紹介する「職場の無礼」を研究した本は以下です。

著者:クリスティーン・ポラス 訳:夏目 大
書名:Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
出版社:東洋経済新報社 発行年:2019年

無礼な態度がいかに大きな害をもたらすか

本書では、職場で誰かに無礼な態度を取られていると感じた人は、次のよう行為に出ることがわかったと紹介しています。

<本書より>

  • 48パーセントの人が、仕事にかける労力を意図的に減らす。
  • 47パーセントの人が、仕事にかける時間を意図的に減らす。
  • 38パーセントの人が、仕事の質を意図的に下げる。

また、無礼な態度を取られた本人だけでなく、それを見ていた周囲の人も悪影響を受け、職場全体が巨大なストレスにさらされ、認知能力の低下や心身の健康までも損なう、と語っています。

そのため、プロジェクトに無礼な態度を取る人がいる場合は、プロジェクトの成功確率を上げることは至難の業です。
「要件定義」や「〇〇管理」のみを重要視し、「たかが無礼」と甘く見て放置していると、取り返しのつかない事態になってしまう恐れがあります。

無礼な態度がもたらす5つの費用

本書では、無礼な人のコストを可視化すると、次の5つのコストがかかることを紹介しています。

<本書より>

  • 費用1:無礼な人は同僚の健康を害する
  • 費用2:無礼な人は会社に損害をもたらす
  • 費用3:無礼な人はまわりの思考能力を下げる
  • 費用4:無礼な人はまわりの認知能力を下げる
  • 費用5:無礼な人はまわりを攻撃的にする

プロジェクトにとって、金銭的な問題(コスト)は非常に重要です。
「たかが無礼」と放置することができない状況となることがわかります。

礼節がもたらす利益

それでは、「無礼」の反対「礼節」がもたらす利益は何でしょうか?

<本書より>

  • 仕事で優れた業績をあげる可能性が高い
  • 幅広い人脈を築くことができ、そこから多くの利益を享受できる
  • リーダーとして評価され、周囲からの忠誠心を勝ち得る

人は尊重されると、自分に価値があると感じ、力を発揮することができます。
プロジェクトマネージャーの礼節ある態度はメンバの気分を高め、その人が属するプロジェクトの業績も上げることができます。

礼節を得るには?

本書では、礼節を得るための、3つの原則と5つの心得があることを紹介しています。

<本書より>
3つの原則

  • 笑顔を絶やさない
  • 相手を尊重する
  • 人の話に耳を傾ける

<本書より>
5つの心得

  • 与える人になる
  • 成果を共有する
  • ほめ上手になる
  • フィードバック上手になる
  • 意義を共有する

これらはまさに、プロジェクトを円滑に運用するために必要なスキルではないでしょうか。

無礼な人への対処

ここまでくると、無礼ではなく礼節を高める必要があることがおわかりですよね。

そもそも皆さんのプロジェクトに無礼な人を入れないことが重要です。
もう既にプロジェクトに無礼な人がいる場合、無礼な人から身を守るにはどうしたらよいでしょうか?
無礼さに対するストレス耐性は人ぞれぞれですが、本書ではいくつかの方法を紹介しています。

<本書より>

  • 相手の態度にふりまわされず、自分を見失わないようにする
  • すぐにやり返さずに賢いふるまいが必要
  • 話し合いができる場合は、話す内容と言語外コミュニケーションにも気を配る
  • 話し合いができない相手とは直接話さない
  • 「成功の自覚」が最大の防御策
  • 未来に目を向ける

さいごに

無礼に対するプロジェクトでの対処をまとめると、こういうことです。

  • 無礼でなく礼節を高める
  • 礼節を高めるための3つの原則と5つの心得を意識する
  • プロジェクトに無礼な人を入れない
  • プロジェクトに無礼な人がいる場合、無礼に対する方法で身を守る

どんな立場のどんな人であれ、仕事で成功するためには、自分にある問いかけをする必要があると本書では語っています。
その問いとは、たったひとつ ――
「自分はどういう人間になりたいのか」

以上、皆さんの活動のご参考になりましたら幸いです。