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プロジェクトの振り返りについて(前編)
PJ活動お役立ちコラム
第7回 2021年01月12日
プロジェクトの振り返りについて(前編)
皆さんの社内プロジェクト、やりっぱなしになっていませんか。
どんなプロジェクトであれ、プロジェクトの終了時に振り返りあるいは反省会を行うと思います。もし振り返りをやらずに済ませようとしていたら、ぜひ実施してみませんか。
でも、振り返りは何のために行うのでしょうか。目的があいまいなまま、振り返りをやらなければ、というだけで会議を招集しても成果は得られません。
今回は、「次に生かす教訓を得る」ことを目的に振り返りを行う意義についてお話ししたいと思います。
ときどき見かける残念な振り返り会の情景
これはあまり良くない例ですが、開発プロジェクトの振り返り会でも、ときどき見かける光景です。
- 振り返り会が沈鬱なムードで、活発な意見交換にならない。声が大きい人が一方的に問題点を指摘して終わりになる
- KPT法を取り入れたのに、Kがほとんど出てこない。Tはいつも同じものになってしまう
- 結局、聞いたことがある話ししか出てこない。こんなの意味があるの?、とみんなが感じている
思い当たる経験はありませんか。振り返り会・反省会の開催に何か引っかかりを感じるのは、こういう情景が頭に浮かんでしまうことが背景にあるのかもしれません。これでは、失敗したプロジェクト、あるいは問題噴出が続いたような場合、プロマネとしては振り返るのも嫌かもしれません。
逆に、うまくいったプロジェクトでは「反省」することが思いつかず、振り返り会をやっても感想を述べあうだけになったりします。これは数多くのプロジェクトを見て来た我々からすると、たいへん勿体ないことだと感じます。
どんなプロジェクトにも、必ず反省すべき点があります。どうしたら良かったのか、次はこうしよう、といった教訓の形で次に伝えられれば役に立つかもしれません。一方で、どのような結果であれ、プロジェクト進行の過程で多かれ少なかれ困難やトラブルに直面し、それを回避したり乗り越えたりしてきたはずです。その工夫のひとつひとつも、もしかしたら次に生かせるかもしれません。これらはすべて、組織の財産です。
ただ、なんでもかんでもうまくいったことや反省点を挙げれば次につながるのかというと、もちろんそんなことはありません。
では、先に述べた残念な光景を避けて「意味のある」振り返りにするにはどうしたら良いのでしょうか。
振り返りの目的を明確にすること
ひとつは、振り返りを行う目的を明確にすることです。目的があいまいだと、せっかくメンバーを集めても、何となく良かったこと、失敗したことが雑然と挙がってしまいがちです。
実は振り返りを行う背景にはいろいろな思いがあるものですが(原因追及や再発防止から、人材育成、チームビルディングまで)、ここは是非、「次に生かす教訓を得る」ことを目的にすると良いでしょう。
「次のプロジェクト」が無い?そんなことはありません。「次の」と聞くとつい「自分が次にプロマネを担うプロジェクト」や「同系統の後続プロジェクト」を探してしまいがちですが、それは違います。プロジェクトで得た教訓の多くは、直接的な後継プロジェクト以外に対しても有効です。チームあるいは部門を広く見渡せば、プロジェクトは今もこれからもたくさん生まれるはず。もっと言えば、「プロジェクト」と名が付く活動に限らず、組織知として、自分のチームなり部門なりで共有できる要素かもしれません。そのくらい広く対象を捉えて、「次」に生かすことをイメージすると良いでしょう。
今回は「プロジェクトの振り返りについて」の前編として、振り返りの重要性と、「意味のある」振り返りのために目的を明確にすることが大切であることをお話ししました。
次回は後編として、「意味のある」振り返りで必要な、もうひとつのことをお話しします。
> プロジェクトの振り返りについて(後編)