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課題が山積みな時ほど、Goodポイントを探してみる
PJ活動お役立ちコラム
第6回 2021年01月05日
課題が山積みな時ほど、Goodポイントを探してみる
問題と共に不満も噴出
私が以前担当したプロセス改善案件のお話です。
提供しているサービスの利用者が想定以上に増えてしまったためにサポート設計が追いつかず、実施すべきサポートの遅延や情報共有遅れといったことが起こってしまっていました。そのプロセス改善をご支援したのですが、その中で心がけたことを本日はお伝えしたいと思います。
問題が発生すると、「なぜなぜ分析」など問題事象の根本原因を突き止める分析をしますよね。
もちろん、問題など発生しないほうがよいですし、そうならないように設計/計画しているはずですが、人為的なミスも含めて問題は起こります。
当該案件でも、問題事象に対して「なぜなぜ分析」が実施され、対策を取り現場は懸命に対応していました。
けれども、必要なサポートプロセスを再構築していく過程で、担当者から「そもそも」「だいたい」「最初は」という言葉がよく聞かれました。
これは、不満が出てくる言葉で、あまり良い傾向ではありません。
Goodポイントを探してみる
そこで私は、プロセス再整備の前にあえて「KPT分析」を入れました。
「KPT分析」とは、Keep/Problem/Tryの略で、業務や作業を振り返る際に活用する手法です。
「Keep:よかったこと・継続すること」「Problem:問題点・改善すること」「Try:今後取り組むこと」をそれぞれ出していき、分析するものです。
すでに、「なぜなぜ分析」を実施していたので、不要なプロセスだったかもしれませんが、「Keep」をたくさん出してもらいたいと思ったのです。
問題が発生した際に、「なぜこの問題が発生したのだ」「問題はどこだったのだ」「なぜ手順通りやらなかったのだ」と詰め寄られると辛いですよね。もちろん、反省や次へ進むための改善策の実行など取り組むべきことには真摯に対応していかなければなりません。けれども、日々の業務で個人でも、チームでもがんばっていることはあるはずです。
私はまず、そこにフォーカスを当てたかったのです。
「みなさんが、これは自慢できるという取り組みを「Keep」に書いてみてください」とお伝えしました。
KPT分析を実際やったご経験のある方は分かると思いますが、たいてい「Problem」のほうが多く出てきます。
当たり前にやっていることは、当たり前すぎて「Keep」に出てこないことがよくあります。
この時は、フセンを使ってのワークショップ形式で実施しましたが、あまり筆は進まない状況でした。けれども、「きちんと日々実行している取り組みを教えてください」とさらにお伝えしたところ、少しずつ自信を持って運用している現状を書いてくれました。
自分で創意工夫していること、チームとしてミスをなくすように連携して工夫していること、メンバーの勤務地が離れているけれど、連携を密にするための工夫などが出てきました。
建設的に前へ進むために
決して問題がなくなったわけではありませんし、改善の取り組みは山積みでしたが、そのような時こそ「良いところ探し」をしてもらいたいと思います。
失敗をしたくて失敗する人はいません。失敗の真因はプロセスにあるわけですが、そこにフォーカスする前に、業務を日々懸命に遂行しているメンバーの「想い」に寄り添ってからスタートすることを私は実体験からおすすめしています。
当該案件では、「自分たちはきちんとやっている」という前提認識を共有した上で、より効率的でミスのない運用にするにはどうしたらいいのかという建設的な議論に移っていきました。さらに、より確実に実行するためには、「こういう意識でいないといけない」というマインド醸成も自然と出てきたこともうれしいことでした。
ぜひ、課題が山積みな時ほど、Goodポイントを探してみてください。