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部下にとって本当の意味で良い上司とは?

PJ活動お役立ちコラム
第5回 2020年12月30日
部下にとって本当の意味で良い上司とは?

会社にとって良い社員とはどんな社員か?

今日は「部下にとって本当の意味で良い上司とは」について、お話しします。部下をもつ上司や管理職の方には、是非一度お読みいただきたいと思います。

このタイトルをご覧になったとき、「随分と抽象度の高いテーマだな」と思われた方も多いと思います。確かに部下にとって良い上司のイメージなどは、いくつもパターンがあると思いますし、そもそも業種や職種によっても変わってくるものかも知れません。
そのため、考え方を180度逆転させて考えてみました。

「部下にとって本当の意味で良い上司とは」を考える際、「会社にとって良い社員はどんな社員か」について考えてみました。実は、この考え方にもいろいろなパターンやケースがあると思いますが、究極的には以下のようなことではないでしょうか。
それは、次のような人材像です。

「お客様への提供価値最大化を念頭に置き、自社の売上や利益拡大のため常に自己研鑽を惜しまず、新たなことにも果敢にチャレンジするマインドを持って日々の業務に取り組んでいる」

いかがでしょうか。あくまで上司の立場で考えるなら、このような部下は理想的な部下像ではないでしょうか。あるいは、単に上司の立場からだけでなく、人事・採用部門にとってもこのような人物はぜひ採用したい人材像ではないでしょうか。
そうであるなら、上司は、部下のこのような振る舞いを支援するような指導や日々のコミュニケーションをどこまで取れているか、という問題になってきます。

パレートの法則

皆さんも「パレートの法則」という言葉を聞いたことがあると思います。ご存知のようにこれは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見した法則で、2:8の法則とも言われています。
この法則は、一般的に以下のような解釈がなされています。

  • ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。したがって、売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うのではなく、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。
  • 企業売上高の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。

ここはパレートの法則を詳述する場ではないため、このぐらいにしておきますが、ここで注目すべきことは、2割のほうで頑張っている(2割を担っている)社員のことです。会社売上の8割を生み出す2割の顧客を担当している社員たち、おそらく、会社にとって模範的な活動や振る舞いをしているであろうこの2割を担う社員に対するサポートや、こうした優秀な社員が遂行しているビジネスモデルやビジネスマインドの見える化や横展開を上司はどこまで本気で考えているでしょうか。

上司の8割は部下を見ていない

筆者自身も上司の立場であることから、これは自戒も込めて書きますが、「上司は部下を見ているようで実は見ていない、または見えていない」のではないかということです。あるいは、「見ているつもり」と思い込んでいるのではないでしょうか。これはあくまで経験談になるため一概には言えないのですが、筆者自身も部下の立場であった頃の上司を振り返って、かつて上司だった8割の人は、自分のことをしっかり見てくれていなかったように感じています。上司・部下の関係といえども、その本質は「人対人」の関係であり、お互いが人である以上、考え方やものの見方、思惑などにズレや誤差が生じるのはある意味当然のことだと思います。そのため、その前提認識を持って部下とコミュニケーションできているかどうか、が大きなポイントになると思います。パレートの法則で言えば、8割の売上を生み出す2割の顧客を担当する社員を安心人材と決めつけ、放置したままでいれば、時には疲弊したり、失敗したりして挫折しているかも知れない状態を見逃してしまうリスクが高まるでしょうし、逆に価値を生み出していないであろう8割の社員を段階的にでも成長させるプログラムを考えないでいれば、企業や組織のパフフォーマンスはいつまでも向上することはありません。つまり、それぞれの社員に応じた適正なフォローアップを実施することこそが、企業活動の質を現場から活性化することには欠かせないと考えます。
逆に、そのような働きかけや活動を常に実践していれば、社員一人ひとりのパフォーマンス向上やエンゲージメントの向上にもつながり、ひいては企業競争力の向上にも繋がっていくことを筆者は信じています。働きかけや活動を具体的に言えば、それは部下との丁寧な対話をタイミング良く実施することに他なりません。

今回は「部下にとって本当の意味で良い上司とは」についてお話してきましたが、結論は「部下の適正に応じた育成を真剣に考えていること」、また、その前提として「部下の一人ひとりとしっかり向き合いながら、適切なタイミングと頻度で継続的に対話すること」となります。
「なんだ、そんなことか」とがっかりされた方も多いと思います。ただし、このシンプルで当たり前のことをどこまで本気で実践できているか、組織として成果を出す取り組みをどこまで真剣に実践できているかについては、筆者自身も確信を持って「できています」と言えない状況であったため、このようなお話をさせていただきました。