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期待値コントロールとは?

PJ活動お役立ちコラム
第3回 2020年12月15日
期待値コントロールとは?

顧客や上位者の「期待」に潰されそうになっていませんか?

社内プロジェクトを進めて行くなかで、プロマネの皆さんは、上位者や会社幹部から様々な「期待」を寄せられていると思います。期待されてありがたい反面、その強い圧力に潰されそうになることはありませんか?開発現場も同様で、我々もそのような場面を何度も見て来ました。顧客からの有形無形のプレッシャーにさらされ思い悩むあまり、不幸にしてプロジェクト途中で離脱するケースもあるようです。
我々がPMOとしてプロジェクトに寄り添う際に大切にしている仕事の一つに、顧客の期待値コントロールということがあります。実はここにも知恵とノウハウがあるのです。
今回はこの「期待値コントロール」についてご紹介したいと思います。

上手なプロマネは顧客の期待値も上手にコントロールする

開発プロジェクトでは、例えばこのような場面があります。

  • プロジェクトが進むに連れて顧客の期待値が上がってしまう
  • 中間報告の際に「あれ、この程度なの?」と言われてしまう
  • こちらは目標スペックを実現したつもりだったが、品質不備と判定され後戻り作業が発生してしまう
  • 「もっとやってくれると思っていたのに」「期待外れだ」などのご批判をいただく・・・

ところがよく見ると、実際は顧客の声に真摯に耳を傾け、期待に応えようと必死に頑張っているプロジェクトに限って、こういった批判にさらされることが多いようです。心当たりはありませんか?

実は、上手なプロマネは、こういった批判を受けることがほとんどありません。正確には、あったとしても表面化させません。
プロジェクトにリスクは付き物、不測の事態によって顧客からの要求事項や期待値を満たせなかったり全機能を実装できないことがあります。最初から無理難題な要件を飲まされるケースも皆無でありません。それでも、上手なプロマネは、顧客に不満を抱かせることなく、プロジェクトを完遂させます。何が違うんでしょうか?
もちろん様々な要因が考えられるのですが、上手くいっていないプロジェクトを見ていると、「これは期待値コントロールに失敗しているな」と思わされることがしばしばあります。

上手なプロマネは、意識的に(あるいは無意識的に)顧客の期待値をコントロールしています(コントロールという言葉を使うと、何かネガティブな印象を受けるかもしれませんが、決してそういう意味ではありません)。
プロジェクトにはQCD(品質・コスト・納期)それぞれの目標があり、それを満たしつつ、目的の成果物を作り上げたりサービスを完遂したりするものです。上手なプロマネは、このQCDそれぞれについて、顧客が「こうあってほしいと考えているライン」と「絶対譲れない最低限のライン」を見極めています。一方で、同じQCDそれぞれについて、プロジェクト側が「頑張ればできるかもしれないライン(ストレッチ)」と「確実に到達できるライン(固め)」をしっかり把握しているのです。このプロジェクト側のラインはしばしば変動するので、常に最新の状態を把握している必要があります。
そして、これらを踏まえて、顧客との対話を重ねます。プロジェクトのマクロ的な意義を見据え、実現したいことの優先順位について、顧客と対等な立場でディスカッションするのです。顧客の期待がプロジェクトの実力値を超えているときには適切に警鐘を鳴らします。ときにはプロジェクトの実力値(固めライン)をさらけ出し、目標レベルやスコープについて現実的な「落としどころ」の協議に持ち込むこともあります。

期待値コントロールの肝は、相手の本音を引き出す場作り

これにもコツがあって、メンバー全員が集まっているような場を避け、顧客キーマンと1対1で向かい合う場を作ると、上手にディスカッションできるようです。月次の定例会議が終わった後の立ち話しも有効です。そういった場で、顧客が描くプロジェクト外のビジョンを共有することも重要です。顧客が大事にしていることを素早く見抜き、それに向かってプロジェクトがとくに注力している部分についてあえて言葉にしたり、報告書などで目に見える形で示すことで、力を合わせて取り組んでいることを実感させるのです。
こうして相手の本音を引き出し、こちらの考えを効果的に伝える場を作り出すのも、プロマネの重要なテクニックだと考えています。

まとめると、こういうことです:

  • プロジェクトが顧客の要望に100%応えられるとは限らない。
  • QCD各側面で顧客の期待値をバランスよくコントロールすることが求められる。
  • 大事なのは、根気良く顧客と対話を重ねること。
  • 顧客が大事にしていることを素早く見抜き優先順位を定めること。

いかがでしょうか。あなたのプロジェクトに応用できる部分がありましたら幸いです。